セルビア旅行記、5日目。クルシェバツを拠点に、モラヴァ様式のナウパレ修道院と、ラシュカ様式の聖ニコライ聖堂を見に行きます。あとクルシェバツの街中にあるセルビアの東武ワールドスクウェア(セルビア正教会のミニチュアパーク)をたっぷり楽しみました。
目次
- クルシェバツ拠点の修道院めぐり
- ナウパレ修道院(Monastery Naupare)
- クルシュムリヤの聖ニコライ聖堂(Monastery of St. Nicholas in Kuršumlija)
- セルビア正教会のミニチュアパークがある
クルシェバツ拠点の修道院めぐり
クラリエボからクルシェバツという街にホテルを移動して、まずは南部にあるナウパレ修道院と聖ニコライ聖堂を見にいきます。
A:クルシェバツ→B:ナウパレ修道院→C:聖ニコライ聖堂→D:クルシェバツ、の一方通行ルート。
ナウパレ修道院はリッチな装飾が特徴的なモラヴァ様式。聖ニコライ聖堂はロマネスクっぽいビザンティン建築のラシュカ様式。ラシュカ様式でも初期の建築のようです。
※グーグルマップの車のラインは自分が適当に線を引いたものなので、実際のルートとは若干異なります。
クルシェバツのホテルは、街なかのこちらにしました。
クラリエボでやったのと同じように、事前に行きたい修道院とタクシー配備をお願いしていました。受付の人は親切でてきぱきした女性の方で、居心地よかったです。
呼んでくれたタクシーは、ちょっとだけ英語が喋れる運転手さんでした。
ナウパレ修道院(Monastery Naupare)
クルシェバツの街からは車で30分ほどの近距離にある、ナウパレ修道院に到着。
駐車場は敷地の外にありまして、ここから森の中へ入っていく感じです。
ご対面。モラヴァ様式の特徴であるバラ窓が大きいです。目立ちます!
正面から見ると細長いのですが、ぐるっとまわると立体感ある教会が見えてきます。後ろ側の墓地の方向から撮影。
また、建物の下側から角度をつけて見上げてみたところ。
ふくらんだ礼拝堂部分が、ビザンティン建築ぽくて良いですね。。
それでもやっぱり、この教会の特徴は正面の面積に比して大きいバラ窓だと思うんですよ。上下に1個ずつあります。
この教会はウィキペディアによると、オリジナルは14世紀後半の建築で、その後15世紀にオスマンの侵攻で壊され、19世紀に修復されたものだそうです。
バラ窓接写。
装飾が細かくて見飽きないです。さらに拡大。
まず上の窓。
そして下の窓。
大きさ的に上の窓が目立つのですが、細かい装飾は下の窓が面白かったです。
見てください、なんだか顔みたいなのが彫られている。おもしろ~。
顔の表情とかも違うのも楽しい~。
正面以外の部分のバラ窓もよかったです。
小さな建物でしたが、なかなか楽しめた教会でした。
クルシュムリヤの聖ニコライ聖堂(Monastery of St. Nicholas in Kuršumlija)
ナウパレ修道院からさらに1時間半ほど南下したところに、聖ニコライ聖堂があります。この教会はラシュカ様式(ロマネスクの影響とビザンティン建築の折衷様式)の一番最初のものだ、というように本で紹介されていたので、見に行ってみました。
門の前の看板にも英語とセルビア語で説明書きがありました。
12世紀にステファン・ネマニャが建てた教会で、「ネマニッチ王朝が建てた最初の修道院」ということです。モラヴァ様式が14世紀~なので、やっぱり古いですね。
しばらくぶり(2日ぶり)にロマネスクっぽいラシュカ様式と対面。
あれ、ふつうにビザンティン様式に見えますね。両側の鐘楼がロマネスク要素なのかな。
世界遺産のストゥデニツァ修道院やソポチャニ修道院と比べても、奥行きもそんなにないし、高さも控えめだし、コンスタンティノープル風のビザンティン建築に見えます。
案内看板をがんばって読むと、レンガとモルタルの混合がビザンティン建築の特徴、レンガと石の混合がロマネスクの特徴、というふうに書いてありました。素材の話かあ。
おそらく2つの鐘楼は修復されたものかと思います。
この聖ニコライ聖堂を含む修道院施設は、今まさに修復作業中でした。
もう少し時間がたてばもっと完成度の高いものを見られるかもしれないです。
セルビア正教会のミニチュアパークがある
この日は2カ所見て終わりなんですけど、クルシェバツには街の西側にBAGDALA PARK という公園がありまして。
そこはセルビアの東武ワールドスクウェアのごとく、セルビア正教の重要教会建築のミニチュアが並んでいて、しかも誰でも無料で見に行けるということなのですよ。無料ですよ!
常々、ディアゴスティーニから「世界のビザンティン建築」とかいって、毎月有名ビザンティン教会の卓上サイズの模型セットが発売されないだろうか。とか夢想してたわけですが、まさかセルビア正教限定でそういうのが見られるとは。
グーグルマップを見ると、ホテルから歩いて行ける距離にありました。これはもうもちろん行くしかないのです!
来ました!坂の上にあったので、わりかし疲れました。
ではさっそく。
いきなり知らない教会・・・。塔の形が見たことある、と思ったらSerbia incoming(Serbia Monasteries Archives | Serbia Incoming™ DMC)のサイトで紹介されていたKrušedol Monastery(クルシェドル修道院)でした。セルビア北部のフルシュカゴーラというところにあるやつです。
次。
なんか色がないけれど、これはわかります!ベオグラードの聖サヴァ大聖堂です。
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これも知らなかった教会ですが、調べによるとTronoša Monastery(トロノシャ修道院)です。セルビアの西側の方にあります。
次。
小さな教会です・・・これも知らなかった教会ですが、Pavlovac Monastery(パブロバツ修道院)ということでした。コスマイ山という山の中にあります。
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これは予習済み。ラヴァニツァ修道院です。修道院巡りの最後の日に行く予定。こう見ると小さな鐘楼が生えててかわいい。
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あー、これはすぐわかる。ジチャ修道院ですね!行った!見たやつは赤くなかったけど。
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世界遺産ストゥデニツァ修道院。見た見た。ラシュカ様式のビザンティンとロマネスクの折衷具合がすごくわかりやすい。
次。
これもわかる!!ミレシェヴァ修道院です。遠かったなあ。ラシュカ様式もこれくらいだと統一感があって美しいですよね。
次。
あっ・・・これ知ってるなあ。行ったことある。コソボのペーチ総主教座だと思うのですが。
自信がないけど確かめたかったので、近くにいるおば様二人組にペーチ?ペーチ?と聞いてみたらイエスイエス、と答えてくれたのでやっぱりペーチだった。
セルビアはコソボの独立を認めていない国家の一つなんですよね。もうほとんどアルバニア系住民のイスラム教の国になってるけど、セルビア正教の重要な教会があるコソボ。行ったのは5年以上前ですが、教会は国連軍によって警備されてました。
次。
こちらもコソボの教会、ラシュカ様式の最高傑作。ヴィソキ・デチャニです。
こう見るとやはり美しい。ミニチュアはいいですね。なかなか見ることの難しい、ドームの上から見下ろす角度で眺められるのが楽しいです。
コソボでペーチ、デチャニと来たら。
グラチャニツァ修道院です!外せないわけです、やはり。何度見てもこの教会は自分のビザンティン欲のど真ん中に来ますね。。。
ちなみにセルビア・ビザンティン様式、Serbo-Byzantine(セルボビザンティン)様式などと呼ばれているスタイルです。
斜め上からのアングルがうれしい。
最後。
これはわかります!昨日見たこの町の自慢、ラザリツァ教会です。
撮影者の影が入っちゃってますが、やはりモラヴァ様式はデコレーションケーキのような、こじんまりとしたきらびやかさがあります。
これで大体全部だったかな。
ひととおり見て気が付いたのですが、これらのミニチュアたちはセルビア(+コソボ)の現存する場所に応じて、地図上の大まかな位置に配置されているんですね。
ミニチュアの近くの水色の砂利は、教会の側を流れるセルビアの川ということらしいです。
ミニチュアパークのすぐ横に、ミニチュアではない教会を建築途中でした。
公園の端っこから見下ろしたクルシェバツの街並み。
すごい楽しかったです。皆様もぜひクルシェバツに行って、セルビア正教のすばらしい教会建築のミニチュアに触れあってみてください。
(続く)
≪セルビア旅行計画≫
- ストゥデニツァ修道院・ジチャの修道院・グラダツ修道院
- ペトロヴァ教会・ジュルジェヴィ・ストゥポヴィ修道院・ソポチャニ修道院
- アリリエの聖アキレリウス修道院・ミレシェヴァ修道院
- リュボスティンヤ修道院・カレニッチ修道院・ラザリツァ教会
- ナウパレ修道院・聖ニコライ聖堂・セルビアの東武ワールドスクウェア ⇐今ココ
- ラヴァニツァ修道院・マナシヤ修道院+旧ユーゴ時代のSpomenik
- ベオグラード観光①・あてどなく街歩き編。夜食も食べる
- ベオグラード観光②・定番観光地編。夜カフェも行く
- ベオグラード観光③・最終日、博物館編。
- ベオグラードのビザンティン・リバイバル建築巡り
- 聖サヴァ大聖堂の教会モザイクを実物と比べてみる