セルビア旅行記、2日目。クラリエボからタクシーで南下し、ノヴィパザルを通過して、世界遺産のペトロヴァ教会、ジュルジェヴィ・ストゥポヴィ修道院、ソポチャニ修道院を見に行きます。
目次
- クラリエボから行く南部の世界遺産
- ペトロヴァ教会(Petrova crkva)
- ジュルジェヴィ・ストゥポヴィ修道院(Djurdjevi Stupovi Monastery)
- ソポチャニ修道院(Sopocani Monastery)
クラリエボから行く南部の世界遺産
地球の歩き方でセルビアを調べた人は、セルビアの世界遺産の教会群は北部と南部に別れており、北部(ストゥデニツァ修道院)の拠点はクラリエボ、南部(ソポチャニ修道院など)の拠点はノヴィ・パザルにすればよい、というガイドを読んだことがあるでしょう。
しかしホテル移動が億劫だったので、北部も南部も大した距離ではないだろうと、クラリエボ拠点で見に行き、またクラリエボまで日帰りで戻ってくることにしました。
そんな旅程を地元のタクシー会社に依頼してくれたホテルがこちら。
2日目のこの日は、クラリエボ→(ノヴィ・パザルを通過)→ペトロヴァ教会→ジュルジェヴィ・ストゥポヴィ修道院→ソポチャニ修道院、そしてクラリエボに帰るルート。いずれも世界遺産です。
また、ジュルジェヴィ・ストゥポヴィ修道院とソポチャニ修道院は、ラシュカ様式(ロマネスクっぽいビザンティン建築)の教会建築です。
グーグルマップの車のラインは自分が適当に線を引いたものなので、実際のルートとは若干異なります。
初日のストゥデニツァ修道院などのツアーと、途中までは同じ道のり。
では張り切って出発~。
ペトロヴァ教会(Petrova crkva)
ここはグーグルマップやウィキペディアでは英語で「Church of the Holy Apostles Peter and Paul」と表記されているところです。タクシーの運転手さんはソポチャニはよく知っているようだったのですが、ここはわからなかったらしく、出発前に同僚などに電話をかけ、行き方を聞いてました。。。マイナーな世界遺産なのでしょうか。
ノヴィ・パザルの街を通り抜け、出発から2時間ほどで到着しました。
オレンジ色のプラスチックネットや、手前のプレハブがすごく工事現場感ありますが。アーチをくぐると古い教会が見えました。
敷地内の手前側は墓地になってます。
この教会はセルビアで最も古いもので、10世紀の教会です。古すぎて「○○様式」とかいう分類に当てはまらない、初期ビザンティン建築です。
この教会は入場料がかかりました。一人240ディナール。
入って奥にドーム。右手に展示室があります。おそらくこの教会の司教や修道者の墓石的なものを展示してるんだと思います。
顔の表現がなんだか特徴的。
ドームの真下はこんな感じ。
内部のフレスコ画は一部だけ鮮明なところがありますが、ほとんどなくなってます。
この教会は2階部分に登れるのがおもしろかったです。
とても小ぶりな教会でした。ここでステファン・ネマニャなどが洗礼を行ったそうですが、本当に少人数しか入れませんね。
外です。
ぐるっと回る。
うん?ドームの形が不思議。
美しいビザンティン教会建築の必須要素であるドームは、通常は完全な円筒形か、または多角柱。これは途中で諦めたみたいな板付きカマボコみたいな形になってます。
なぜこうなったんだろう。建築技術の未熟さ?それとも、もともとは4世紀からあるらしいので、拡張などの過程でやむにやまれずこうなったのか、もしくはこの形にしたくてこう作ったのか。
入口の俯瞰図を改めて見てみると、この教会の変な形がよくわかります。
なかなか味わい深い教会でした。
ジュルジェヴィ・ストゥポヴィ修道院(Djurdjevi Stupovi Monastery)
ペトロヴァ教会も丘の上にあったんですが、それをいったん下ってから、さらに山っぽいところに登っていきました。
しばらくして駐車場がありました。ここから歩きです。
行先は道が二股に別れてますけど、どっちだと思いますか?
この物々しい修道士の顔が付いた門だと思いますよね。開いてるし。なにかセルビア語で書いてあるけど読めないし。
結果的にこれは修道士の方のための道だったようで、明らかに裏手というか、宿坊に出てしまったので焦りました。。。
で、見えてきたのがこれです!
塔が崩れてます。これをぐるっと左側に行ってみると、
本来の正面ファサードです。両側の塔が派手に崩れたままになってます。
お土産ショップに本来のジュルジェヴィ・ストゥポヴィ修道院の模型があったのですが、これを見ると相当高い塔だったみたいです。
要塞感あふれる形状ですね。。。かっこいい。ロマネスクっぽいビザンティン建築であるラシュカ様式に分類されてますが、あまり他で見たことのない独特の形です。
これは正面左側から見たところ。
そして、真後ろ、後陣部です。
ドームも四角く、後陣のふくらみも角ばっていて、デザイナー(建築家)の美学を感じますね。かっこいい。
正面扉から中に入ります。
フレスコ画とかはほとんどなさそうです。パンフによると、修復の際、残っていたフレスコ画はベオグラードの国立博物館に移されたとのことでした。
わずかに残っているフレスコ画を撮ってみたもの。
車裂きの殉教の絵と思われる一部がありました。
メインの聖堂内はこのようにほとんどフレスコ画は残っていませんが、外の小さな礼拝堂はわりと保存状態の良いフレスコが残っています。
色あせている部分もあるけれど、描き込みも多くて素敵です。
おなじみ、教会を捧げ持つの図。この建物はどう見てもこの教会の形には見えないのですが、ここの教会のことを描いたんじゃないのかな。
修道院の猫。
帰りは正しい道から戻りました。
戻ってみたら、修道士専用の方は門が閉じてました。もしここに来ることがあったら右側の道から登ってください。
ソポチャニ修道院(Sopocani Monastery)
ジュルジェヴィ・ストゥポヴィ修道院からソポチャニ修道院までは、ノヴィ・パザルの街なかを通り抜けて30分ほどです。
なお、ノヴィ・パザルの街はイスラム教徒が多いみたいで、街なかに堂々とモスクと背の高いミナレットが存在し、アザーンの放送が響くトルコっぽい町でした。
街なかには、キリスト教の墓地にまざってイスラム墓地もありました。
そんな街を通り抜けて、世界遺産のソポチャニ修道院に着きました。服装規定がありますが、水着でなければ大丈夫らしい。
駐車場から歩いて丘を登ると・・・ご対面。
おお。。。これは、わかりやすくロマネスクっぽいビザンティン建築!
ロマネスク風に言うと、3廊式バシリカタイプですね。。。
建物の周りを一周します。正面は鐘楼がそびえ立つ。
逆光ですが、反対側から見た感じ。
後陣部です。無骨。
ちょっと晴れてきました。
ラシュカ様式の中でもロマネスクに典型的な、安定したデザインのように思います。
またこの教会は、中のフレスコ画もすごかった。内部は撮影禁止なので、外側のナルテックス内部を写真に撮りました。
反対側の鐘楼内部もよかったです。
この2日間で世界遺産登録の教会を見てきましたが、内部のフレスコ画の点では、間違いなくここが一番見ごたえありました。もし世界遺産だけ見に行く人がいるのであれば、ここを最後のハイライトに取っておくとよいと思います。最後にすごいの来たー!と感動すること間違いなし。
そしてここにも、修道院の猫。
(続く)
≪セルビア旅行計画≫
- ストゥデニツァ修道院・ジチャの修道院・グラダツ修道院
- ペトロヴァ教会・ジュルジェヴィ・ストゥポヴィ修道院・ソポチャニ修道院 ⇐今ココ
- アリリエの聖アキレリウス修道院・ミレシェヴァ修道院
- リュボスティンヤ修道院・カレニッチ修道院・ラザリツァ教会
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- ラヴァニツァ修道院・マナシヤ修道院+旧ユーゴ時代のSpomenik
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