超個人的★ヨーロッパ旅行のHow To

ヨーロッパに住んでいる旅行好きです。バックパッカー、キャンプ、ユースやドミトリー泊などはしません・・・。公共交通機関(やタクシー)ばかり利用してきた、これまでの個人旅行記録と旅のHow To。

【セルビア旅行記】6:修道院巡りラスト。ラヴァニツァ修道院、マナシヤ修道院+旧ユーゴ時代の記念碑など

セルビア旅行記、6日目。修道院巡りもラスト。クルシェバツを拠点に、モラヴァ様式発祥のラヴァニツァ修道院と、要塞修道院マナシヤ修道院を見に行きます。加えてクルシェバツのスポメニックや、クルシェバツのレストランなど。

 

目次

 

修道院めぐりの最終日

セルビア中世修道院めぐりもあっという間に最終日。クルシェバツから北部方向に、モラヴァ様式発祥のラヴァニツァ修道院、それから物々しい塔で囲まれた要塞修道院、マナシヤ修道院を見に行きます。

A:クルシェバツ→B:ラヴァニツァ修道院→C:マナシヤ修道院→D:クルシェバツ、というルートです。

※グーグルマップの車のラインは自分が適当に線を引いたものなので、実際のルートとは異なります。

さらにいうと、旅行した4月は一部の幹線道路が工事で通ることができなくて、舗装されてない道路を低速度でガコガコ揺れながら行くことになりました・・・けっこう時間がかかりました。

タクシーを呼んでくれたクルシェバツのホテルは、こちら。

www.booking.com

タクシー運転手は英語が話せる人でした。

またホテルはほぼ街の中心部で、いろんなところにアクセスが良くて便利でした。

 

ラヴァニツァ修道院(Ravanica Monastery)

冒頭ちょっと書いたとおり、道が悪くて。。。思っていたより時間がかかり、ようやくついたときは昼でした。

修道院の敷地前からの撮影。

バックに山。天気があまり良くないのがまた、日本の神社風に言うと霊験あらたかというか。。。ご利益がありそうな雰囲気になるので、好きです。

ほおう。。こちらがモラヴァ様式発祥となった修道院。1375~1384頃の建築です。クルシェバツの街をつくったラザール王子が寄進して建築し、彼がコソボの戦いで没したあと、ここに埋葬され、その後多くの信者や修道僧の巡礼地となったところです。

なお、この修道院では女性は長ズボンのままでは入ることができません。入口近くにあるロングスカート風エプロンで足を隠さないといけないです。

地元の住民らしきおばさま方が、なんかやたら長いエプロン巻いて出入りしてるな、と思ったらこれでした。

教会見学に服装を注意されたのはアルメニア以来です。(アルメニアの教会では女性は髪の毛をスカーフで隠さないと入れない。)

後ろ側から見たところ。市松模様、点線ストライプ、星型の金属の細かいデコレーションが美しい。。。

角度をつけるとより美しい。

ビザンティン建築を眺めるときの好きな角度です。

ドームをアップ。

もう一つ、その下の部分をアップ。

凝ってますね~。

ところでモラヴァ様式発祥の修道院ということで、繊細&贅沢な装飾がどこから生まれたのかが気になるところ。教会内で買ったパンフによると、ジョージアアルメニアの装飾によく似てるので東方の影響だろう。という仮説はあるが、やっぱり確定的なことはわかっていないようです。

バラ窓は少ないです。正面のバラ窓を拡大。

壁に彫られていた印象的なマーク。

この修道院のモチーフみたいに使われてました。

もう一度教会全景。

教会内で買ったパンフレットによると、手前部分の広いナルテックスはグラチャニツァ修道院の影響なのだとか。

オリジナルはこののっぺりした部分もデコラティブだったのかも。。。一度壊され、後から修復となったとき、装飾を諦めた?と思われる境目を激写。

内部は撮影禁止ですが、中のフレスコ画もけっこうたくさん残っていて良かったです。描かれた時代はまちまちのようですが。

建物もよいし、内部のフレスコ画も見ごたえあったし、立地も良いです。それから、(今まで見てきた教会も全部そうなんですが)現在進行形で人々の信仰を集め、大事にされている感、がすごく感じられて、良き修道院でした。

出る時、団体観光バスが入っていくのが見えました。タクシー運転手があれはドイツから来た観光バスだ、と教えてくれました。

 

マナシヤ修道院(Manasija Monastery)

セルビア修道院巡りもいよいよラスト。マナシヤ修道院は別名「レサヴァ(Resava)修道院」とも呼ばれる修道院です。ラザール王子の息子、ステファン・ラザレヴィチの建てたもので、また、中世セルビア国家で建てられた最後の修道院(1407~1418年)でもあります。

で、入口がこれです。でっっか!

この圧迫感。これだけで期待度が跳ね上がる。

巨大な要塞に囲まれた中央にある教会。

入口横の壁に貼られていた鳥観図。

1400年代初頭はトルコがセルビア領土をたびたび侵攻してきた時代。ステファン・ラザレヴィチは侵攻から守るため、この修道院を要塞として建造し、実際に長い間守りきることに成功したというわけです。当時は100人以上の修道僧が暮らしていたらしい。

要塞部分の要塞感がすごい。

ただの廃墟になっていますが、おそらく当時の宿坊や台所などがあったと思われる広いスペースがありました。

ところで、教会ですが「モラヴァ様式」の特徴であるリッチで繊細なデコレーションが全然見当たりません。バラ窓もない。

要塞の中にあるので装飾も何もないってことなのかもですが。。。

後からパンフレットで確認したのですが、これはどうやらラシュカ様式(ロマネスクっぽいビザンティン建築)とモラヴァ様式を意図的に融合させたということです。

それはステファン・ラザレヴィチが、モラヴァ様式を始めた父・ラザール王子と、ラシュカ様式の教会をたくさん建てたネマニッチ家(母方がネマニッチ家の遠縁)の両方の血を引いていることが理由らしいですよ。

1375年にラヴァニツァ修道院で発現して、1418年のマナシヤ修道院にて、その特徴である贅沢な壁面装飾をほとんど封印して、終わる。

日程的にたまたまですが、1日でモラヴァ様式の始めと終わりの修道院を見ることができました。

ものものしい要塞が雰囲気あります。

ところで、ここは教会よりも、要塞よりも、内部のフレスコ画がすごかったんですよ。(写真撮影禁止のため写真なし。)印象に残るという意味では、今まで見た中でナンバーワンのフレスコ画でした。

もちろん、教会を手で捧げ持つステファン・ラザレヴィチの肖像画も見れます。教会と一緒に剣も持ってました。他にも、鎧や武器を手にした聖人たちの絵がやたら多くて、要塞修道院としての闘志を感じられたのが、おもしろかったです。

駐車場の手前当たりから見たところ。

なお、バイカーが一人、ドイツ語の地図とにらめっこしてるところを見ました。さっきもドイツの観光バスだったし、ドイツ人て修道院好きですよね。

 

ユーゴスラヴィアの記念碑・スポメニック(Spomenik)

スポメニック(Spomenik)をご存じでしょうか。旧ユーゴスラヴィア時代に、国内各所に建てられた様々な戦勝記念モニュメントのことです。巨大で現代アートみたいな建造物が有名です。

en.wikipedia.org

スポメニックのデータベースがあって、セルビアに行くし、1つくらい見れたらいいなと思ってました。

www.spomenikdatabase.org

で、修道院巡りとは全然関係ないんですけど、拠点にしているクルシェバツに有名スポメニックの一つがあったので行ってみました。

入口のような、石の門。

窪んだところと斜面に不揃いに並ぶ不思議な彫刻。

一つ一つはそんなに大きくないです。なかなか形容し難い魅力があります。

上に登って撮ってみた。

かろうじて道っぽいところを辿ったところから撮ってみた。

ほか、その公園にあったもの。

これらは第二次大戦中に、民間人とパルチザン兵士数百人が処刑されたことに対する鎮魂の記念碑でした。まさにこのクルシェバツのここの公園が処刑場だったみたいです。

ただの国威発揚のためのかっこいい現代アートかと思ってたんですが、加えて闘争・抗争の犠牲者をたたえるものが多いみたいですね。

 

クルシェバツの街並みと激うまレストラン

クルシェバツの街は、その前に滞在していたクラリエボよりも洗練された、ゆったりした都会的な雰囲気のある街でした。どっちかに住めって言われたらこっちに住みたい。

↓ 大通りの戦勝記念塔。1389との金文字が輝いている。コソボの戦いの英雄とかだと思う。

↓ 大通りの中央分離帯みたいなところに、噴水とベンチがある公園が設けられている。

↓ 広場で指揮棒を振る銅像

↓ 20世紀らしいデザインのビル。かっこいい。

↓ 現代っぽいアーティスティックなビル。スタイリッシュ。

↓ ポップな丸文字がかわいい、工場廃墟とタンク。こういうの好き。

↓ 世界平和がテーマっぽいモニュメント。

↓ 展示されていた機関車。

幾何学模様のクルシェバツのマンホール。

それからここのレストランが激うまでした。

2日通いました。3日目も行きたかったけど、店休日だったのでやむなく断念。。。セルビア旅行全編を通して、ここが一番美味しかったです。できることならもう一度行きたい。

英語メニューはないのですが、英語を喋れる親切なウェイターさんがいます。グーグルマップで見つけたので、投稿写真を見せたり翻訳したりしながらあれこれ注文した。

パプリカの辛いやつがかかったトーストと、トマト、焼いたパプリカの中身、玉ねぎや生パプリカなどのサラダ。「モラフスカサラダ」という名前だったが、ベオグラードでは見かけることがなかった。この2つの組み合わせで延々ビールまたはワインが進んでしまう、魔の組み合わせ。

カラジョルジェヴァシュニッツェル(覚えた)と、牛肉の煮込み。

煮込みは、煮込みです。日本人の口に合う美味しさ。それからこの左のやつはセルビア全土で食べれるメニューです。しかし・・・ベオグラードでも食べましたが、このレストランの味にかなうものはなかった。豚肉でカイマクというミルククリームを挟んでロールしてパン粉つけて揚げたやつです。要はチーズ巻きトンカツみたいな。これは本当に美味しかった。

パプリカのマリネと、チェバピ。パプリカはすっきり肉厚、チェバピは本能に訴えるうまさでした。

野菜も新鮮だし肉料理も全然もたれないし、パンが美味しいし、グラスでワインを頼むと「一番いいセルビアワインだ」といってめちゃ美味しいのを出してくれるし、クルシェバツを訪れることがあったら是非行ってみてほしいです!

 

次からはベオグラードです。


(続く)

セルビア旅行計画≫

  1. ビザンティン建築と西欧風の良いとこ取り。中世セルビア正教会の修道院めぐり
  2. セルビア教会建築めぐり、計15か所。余裕を持った行き方と観光ルート

セルビア 旅行記

  1. ストゥデニツァ修道院・ジチャの修道院・グラダツ修道院
  2. ペトロヴァ教会・ジュルジェヴィ・ストゥポヴィ修道院・ソポチャニ修道院
  3. アリリエの聖アキレリウス修道院・ミレシェヴァ修道院
  4. リュボスティンヤ修道院・カレニッチ修道院・ラザリツァ教会
  5. ナウパレ修道院・聖ニコライ聖堂・セルビアの東武ワールドスクウェア
  6. ラヴァニツァ修道院・マナシヤ修道院+旧ユーゴ時代のSpomenik ⇐今ココ
  7. ベオグラード観光①・あてどなく街歩き編。夜食も食べる
  8. ベオグラード観光②・定番観光地編。夜カフェも行く
  9. ベオグラード観光③・最終日、博物館編。
  10. ベオグラードのビザンティン・リバイバル建築巡り
  11. 聖サヴァ大聖堂の教会モザイクを実物と比べてみる