【セルビア旅行記】1:まずは世界遺産①。ストゥデニツァ修道院とジチャの修道院、グラダツ修道院
セルビア旅行記、1日目。クラリエボの街から、タクシーで世界遺産のストゥデニツァ修道院と、その近辺にある中世修道院、ジチャの修道院とグラダツ修道院を見に行きます。
目次
観光拠点その1:クラリエボの街
前日にベオグラードの空港からクラリエボに移動済。こんな感じのバルカンの街です。
この町は「ストゥデニツァ修道院の観光拠点にするべし」と地球の歩き方にも掲載されています。
住宅街に桜っぽいものが咲いてました。
街の南側を大きな川(イバル川)が流れていて、河川敷にはスポーツ広場。
川に面してカフェもありました。
ホテルはこちら。
このホテルに事前にお願いしていたとおり、タクシーを呼んでもらいました。クラリエボには4日滞在し、毎日タクシーで修道院を回ってもらうことにしています。
1日目は、クラリエボ→ジチャの修道院→ストゥデニツァ修道院→グラダツ修道院、そしてクラリエボに帰るルート。ラシュカ様式(ロマネスクっぽいビザンティン建築)の教会建築を3件見ていきます。このうちストゥデニツァ修道院だけが世界遺産に登録されています。
グーグルマップの車のラインは自分が適当に線を引いたものなので、実際のルートとは若干異なります。
では張り切って出発~。
車窓です。いい感じに田舎です。
見えてきました。
ジチャの修道院(Zica Monastery)
クラリエボのホテルから川を渡って、タクシーで15分くらいのリーズナブルな距離感のところにあります。
同じように観光中のタクシーとかバンが、門の前で停車してました。
早速見学です!
たくさんの聖人が並んだ門をくぐると・・・
出てきました。
そびえたつ鐘楼。13世紀の建築です。ネマニッチ王朝を開いたステファン・ネマニッチの戴冠式が行われたという、ロマネスクっぽいビザンティン建築であるラシュカ様式です。
内部は写真撮影禁止でしたが、鐘楼の内側は撮影できました。
左右に描かれているのはおそらくセバステと40人の殉教の図かと思われます。
後ろの方まで見てみました。後陣ののぺっとした筒型のふくらみ。すごく・・・すごくロマネスクっぽいです。
ステファン・ネマニャの息子の聖サヴァが、自らフレスコ職人と石工を連れてきて建てたんだそうです。
ところで、赤くない。
ジチャの修道院といえば地球の歩き方にもさらっと紹介されていて、真っ赤な壁が特徴のはず。。。
この建物の他に赤い教会があるのか?
と思いましたが、どうもそんなことはなく。
お土産ショップでなぜ赤くないのか、訪ねてみました。ショップの人はセルビア語しか喋れませんでしたが、傍にいた軍人さんが英語で説明してくれました。いわく、レストレーションのために一時的に色を落としているのだそう。
お土産ショップで売られていたジチャ修道院ノートの絵と、この日撮った写真の比較。
なるほど~形は一緒ですね。そして本当に、本来は真っ赤っ赤の建物だったんですね。
赤い色の理由は、パンフレットによると、信者たちに「キリストが私たちの犠牲のために流した血の色を忘れさせないため」らしいです。
ストゥデニツァ修道院(Studenica Monastery)
ジチャの修道院からストゥデニツァ修道院までは、すごい山道でした。
酔いました。飴とかミント的なものを持ってった方がよいです。
何度もくねくね曲がる山道を登って、やっと着きました。。。
ちなみに、上から見るとこんな感じで塀で丸く囲まれているのですが、ドローン禁止との注意書きがありました。
ちなみに、敷地内部から外側を見た感じはこんな感じ。すんごい山の中にあります。
いよいよ建物です!・・・わあ~ツギハギ感すごい。
反対方向から。この茶色い建物は白い部分の後の時代に付け加えられたものでした。
形がとってもロマネスク風のバシリカに似てます。
この教会は、要所要所のディテールがすごくロマネスクな感じでした。このドア周りとか・・・
ここら辺の彫刻とか。
内部は写真撮影禁止だったので撮れませんでしたが、もともとの建物である白い教会分部の本来の入り口の扉上部には、それはもうロマネスクっぽい、羊だかグリフォンだか人間だかよくわからない生き物の彫刻で縁取られていました。これはもうほとんどロマネスクですね。ビザンティンぽいのはドーム部分のみ。
また、敷地内にはもう一つ小さい教会があって、そこにある王族のフレスコ画が見たったのですが、残念ながら工事中につき入れませんでした。
大きい方の教会内部のフレスコ画もなかなか良かったです。ここは世界遺産だけあって、綺麗なトイレとお土産ショップがありました。
この後さらに山の中に入っていくのですが、途中タクシー運転手さんに一瞬止めてもらって上から写真を撮りました。
丸く囲まれた感を撮りたくて。木がなければもっと撮れた。
グラダツ修道院(Gradac Monastery)
ストゥデニツァ修道院からさらに山道を入り、登ったり下ったりしながら走らせること40分ほど。
タクシーが敷地手前で駐車したので早速降りて歩いてみると。。。見えてきた。
一応見学時間書いてあったので写真撮りました。
そして近づくにつれ・・・これは。かなり良い建物かもしれない。
あ、これ自分好きな形ですね。。。良いです!
グラダツ修道院は、13世紀にステファン・ネマニッチの息子ウロシュ1世の妻のエレナ王妃によって建てられたそうです。
パンフレットによるとデザインに初期ゴシック、ロマネスク・ゴシック要素を含んでいて、空間構造としてはラシュカ様式に属している。ということでした。(素人目線でゴシックかなーと思うのは窓や入口の尖ったアーチ構造くらい。)
13世紀に建てられたあと、トルコの攻撃で破壊され300年近く屋根なしの廃墟だったようです。壁にくっきり残る黒い線は修復以前と以降の境目でしょうか。
何がこんなにいいと思うのか、自分でもうまく説明できないんですが、なんというかバランス?それと、次の写真のこういうところ。
壁に垂直の角度で追加されたでっぱりのような柱のようなこの部分。後陣にもあります。途中にきのこの軸についてるような傘みたいなのがついててかわいいです。これも初期ゴシックデザインの一つなのだろうか。
後陣をまっすぐ見ると、こんな感じ。
ちなみに内部は写真撮影禁止でした。ほとんどのフレスコ画はなくなっていましたが、一部はベオグラードの国立博物館にあるとのこと。
また、ほんの少しだけ残っていたフレスコ画が、淡い色合いに独特のタッチでとてもよかった。。。羊飼いとかの絵が残ってたんですが。これも後ほどパンフを見たところ、ソポチャニ修道院(次の日行く)のフレスコ画の作成者と同一人物によるものだそうです。
手前にある修道院施設の外階段に登って、少し上から撮ったところ。うーん、これは良いものである。間違いなく今日一番良かった教会でした。
毛艶がよくてなつっこい猫もいました。
なおこの日クラリエボに帰ったあと、町の広場でこんな記念碑を見つけました。
グラダツ修道院を建てたエレナ王妃(フランスのアンジュー家)とウロシュ一世の結婚から765年の友好記念碑?でしょうか。後で読み解くと、ジョコビッチがリラの花を植えた?とかいうことが書いてありました。
(続く)
≪セルビア旅行計画≫
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