セルビア旅行記、3日目。クラリエボからタクシーで西へ向かい、アリリエの聖アキレリウス修道院を見た後、ミレシェヴァ修道院へ行きました。観光時間に比べて移動時間がめちゃ長い、1日がかりの観光。
目次
- セルビア西部の僻地・ミレシェヴァ修道院への行き方
- アリリエの聖アキレリウス修道院(Church of St. Achillius in Arilje)
- ミレシェヴァ修道院(Monastery of Mileševa)
- おまけ・クラリエボの街について
セルビア西部の僻地・ミレシェヴァ修道院への行き方
「アリリエの聖アキレリウス修道院」はほとんど知られていないと思いますが、「ミレシェヴァ修道院」は地球の歩き方にも掲載されている有名修道院。
ミレシェヴァ修道院のことを調べた人は、「ウジツェかプリイェポリを拠点に」すべしとのガイド文を読んだことでしょう。。。
そんなガイドを無視して、拠点はクラリエボのまま、クラリエボ→アリリエの聖アキレリウス修道院→ミレシェヴァ修道院を見て、クラリエボに日帰りで行って帰ってくることにしました。クラリエボ・ミレシェヴァ修道院間は片道190㎞、4時間はかかる、との事前情報あり。
※グーグルマップの車のラインは自分が適当に線を引いたものなので、実際のルートとは異なります。
はっきり言って、移動時間往復8時間・見学40分みたいな、ものすごく非効率な観光ルートです。
それでも・・・ラシュカ様式(ロマネスクっぽいビザンティン建築)の中でも後期のアリリエ修道院は、内部のフレスコ画がけっこう見ごたえがあるみたいだし、ミレシェヴァ修道院のフレスコ画の白い天使は、1960年代にヨーロッパから北米への初の衛星放送の際に送信されたということで非常に有名。どうしても見たい!そしてホテルを替えるのは面倒くさい!
ということで日帰りルートを強行しました。こんな非常識な旅程を地元のタクシー会社に依頼してくれたホテルがこちら。
運転手さんも初めての行先だったらしく、道行く人やガソリンスタンドで道を聞きながらの出発。そして帰りは帰りで、なんだかすごい山道に入って迷いながら、帰ってきました。朝8時に出発し、帰ってきたのは18時でした。
アリリエの聖アキレリウス修道院(Church of St. Achillius in Arilje)
アリリエの街に到着。街なかの小高い丘の上に、聖アキレリウス修道院は低い石垣に囲まれて建っています。
ちなみに聖アキレリウスというのは、アリウス派を異端認定したニカイア公会議の出席者で、アリウス派の反対派であり、正統派を強く擁護したというラリッサの司教の名前です。
ラシュカ様式らしい、すっきり端正ないでたちですね。。シンプルで美しいです。
この日、洗礼式が行われるみたいで、式典の始まる前に急いで中を観光。
この教会は事前情報のとおり内部にフレスコ画がたくさん残っていて、見ごたえある教会でした。
教会を建てたのはネマニッチ王朝のステファン・ドラグティン。修道院を持って立つ、真ん中の人です。
王族の衣装の豪華さが白い点々(宝石を表したのかな?)できらびやかです。こちらは入口入ってすぐのナルテックスの部分に描かれたもの。
聖堂内の、おなじみキリストの生涯の各シーンも見ごたえありました。
ところで、どうやらこの教会ではブルーエンジェルというフレスコ画が有名らしいです。(式典前に急いで観光したのでどこにあるのか見つけられなかった)
お土産ショップの上品な年配女性が英語が堪能で、このブルーエンジェルとミレシェヴァ修道院のホワイトエンジェルは作者が同じだと、言っておりました。
本当か?!
この後ミレシェヴァ修道院へ行くのに、なんとタイムリーな情報。。。ブルーエンジェルの拡大写真がこちら。
↑お土産ショップで購入したポストカードの写真です。
ふむ。どうなんでしょうか。ミレシェヴァで、白い天使をよく見てみたいと思います。
おまけ。アリリエの街とマンホール。
ミレシェヴァ修道院(Monastery of Mileševa)
アリリエの街から車を走らせること2時間半ほど。
山道を抜け、
湖の傍を走ったりしたあとで、ようやくミレシェヴァに着きました。
アリリエでは洗礼式典が開催されていたところ、ここミレシェヴァでは結婚式がまさに執り行われようとしているところでした。
式が始まる前に内部を観光しなくては。
目当ての白い天使を早速見つけて眺めていると、結婚式前の衣装を来た司教さんがやってきて、英語でにこやかに説明してくれました。親切。(ここは内部の写真撮影禁止)
Monastery Mileseva : Mileseva: Church: Naos (blagofund.org)
1960年代にヨーロッパから北米へ初めて衛星放送を行うとき、「良い知らせを持ってくる」この白い天使の画像が北米へ送信されたのだ、ということをおっしゃっていました。
アリリエのブルーエンジェルと比べてどうでしょうか。並べて比較。
髪の毛の描き方とかは似てるかも?
(この2つの「作者が同じ説」は、両教会の立て看板にも書いてないし、帰ってからネット検索しても、同一作者であるという情報にはたどり着けなかったです。アリリエ住民の願望的な説かもしれないし、まだ確証が得られていない仮設かもしれない。)
こちらの教会では、白い天使以外の内部のフレスコ画も素晴らしかった。ところどころ剥げて部分的にしか残っていないものばかりだったけど、残っているところは綺麗にくっきりはっきりしていて、衣服のしわなんかの描きこみが多くて印象的でした。
なお、ここまでクラリエボから運転してくれたタクシーの運転手さんも、教会を背景にバシバシ自撮りしてました。こんなところまで来ることもそうそうないのだろう。
教会の建物自体はシンプルなラシュカ様式(ロマネスクっぽいビザンティン建築)です。
後ろには山があり、
すぐそばを川が流れる大自然の中にあります。
修道院の広い敷地を出ると、トイレとお土産ショップと駐車場とあとカフェっぽいものがありました。
白い天使のフレスコ画は肉眼で下から見上げる形になりますが、素晴らしかったです。ほかにも残されたフレスコ画に描かれた人物の表情が豊かで、もっとじっくり観光したかったですね。。。結婚式はしょうがないのですが。
名残推しく、帰路につく。
ちなみに!行きと同じ道をたどって帰るのかと思いきや、ショートカットを試みたのか、謎に山道や畑の中の細い道などを通り、道を間違えUターンすること数回。
道路沿い(畑沿い)の住民に最寄りの街までの道を聞くこと数回。
帰路は5時間ほどかかったのでした。。。
バルカン半島の4月の美しい山や農村地域を間近で見れたのは良かったのですが。
英語の通じない運転手だったのでコミュニケーションが取れず、でも日が暮れる前にクラリエボについてほっとしました。
おまけ・クラリエボの街について
3日間の滞在で見つけた、クラリエボの印象的な風景。
街なかの自販機。
ビールなどの自販機が道路沿いに並ぶ。中のお店の人に声をかけて鍵を開けてもらう。
セルビアのビールが欲しい、と言ったらこれとこれだ、と2本教えてもらったのですが、そのうち一本は明らかに「Montenegro」と書いてあるビールでした。モンテネグロはセルビア領という認識なのか・・・?
↓ チューリップ柄のマンション。
かわいい。
↓ モダンなヨーロッパ風の建物。
おしゃれ。
↓ 昭和とか1900年代半ばのデザインっぽい、ごつごつしたビル。
かっこいい。
↓ ホテルの隣にあった工場。・・・の、太さの違う排気口。
こういうの好き。ごみ処理場だったのかな?何の工場だったのか気になる。
それから、3日間通ったレストラン。KRALJ。
街なかでほかにセルビア料理を出すレストランがないのですが、ここがすごく美味しかったです。
(他の「レストラン」といえる場所はピザレストランのみ。セルビア名物のプレスカヴィッツァなどの肉料理を出すところは、この店以外はファストフード的なお店ばかり。和食がないのはともかく、中華料理やシーフードのレストランも一つもありませんでした。)
居心地の良い店内。ちなみに分煙とか禁煙とかいう概念はこの町にはない。昭和期に転生したつもりで、隣のテーブルのたばこの煙もまあそういうものかと思って、食べました。
サラダ!肉!うまい~ 肉はチェバプほか盛り合わせみたいなやつです。
セルビアンコーヒー!デザート!!うまい~ セルビアンコーヒーとは、グリークコーヒーとかマケドニアコーヒーとかと同じで、要するにトルココーヒーです。豆の香りがダイナミックでおいしかったです。
(続く)
≪セルビア旅行計画≫
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