超個人的★ヨーロッパ旅行のHow To

ヨーロッパに住んでいる旅行好きです。バックパッカー、キャンプ、ユースやドミトリー泊などはしません・・・。公共交通機関(やタクシー)ばかり利用してきた、これまでの個人旅行記録と旅のHow To。

【北マケドニア旅行記】4:中世セルビア正教会の聖ジョルジョ聖堂と渓谷のレスノヴォ修道院

2度目の北マケドニア。4日目の前半はスコピエから割と近い、スタロ・ナゴリチノの聖ジョルジョ聖堂と山を登った先にあるレスノヴォ修道院を訪問。

目次

 

 

スコピエから行く教会その2・その3

スコピエ拠点教会観光シリーズその2とその3です。

スコピエからほど近い、クマノヴォという街の近くにあるスタロ・ナゴリチノにある聖ジョルジョ聖堂。これは中世セルビアのミルティン王が寄進したことで有名な建築です。建築年は1313年。

もう一つはブルガリア人がこの地に修道院を建立、のちにセルビア人が今の教会を建てたという歴史を持つレスノヴォ修道院。建築は1341年とのこと。

 

聖ジョルジョ聖堂@スタロ・ナゴリチノ

ここはスコピエから車で1時間程度のところにあります。

ビザンティン教会ラブ界隈では、セルビア正教建築の一つとして外せない教会(自分調べ)なので、楽しみにしてきました。今回の北マケドニア旅行のハイライトなのです。

 

外観を愛でる

まず、この外観。。。

けっこう傷んだ感じが目立ちますが、まぎれもなく古き良きビザンティン建築。良いたたずまいにため息が出ます。

中世セルビアを繁栄させたステファン・ウロシュ2世ミルティン王の寄進による建築で、セルビアビザンティン建築様式に分類される教会の一つです。

典型的なビザンティン建築。この、レンガの積み重ねで作られる模様。

この辺りが、ビザンティン建築好きとしては・・・自分だけかもしれませんが、たまらないのです。そういうフェチかもしれない。

それからこの壁の、おそらく外側にも何か柱か何かがくっついていたのではないかと思われるのが、壁にぼこぼこ突き出ている不完全な石の跡。

教会建築の完全体としては美しくない状態かもしれないですが、なんだか生き物のようで、いい具合の廃墟感も出ていて、すごく良いです。

 

内部も見ごたえあり

それからここは内部のフレスコ画がすごい。

本によるとミルティン王お抱えのビザンティン画家が手掛けたことがわかっているそうです。

この一面のフレスコ画。圧巻です。

途中、この教会の管理人らしき人がやってきて、見どころを教えてくれました。

曰く、竜を殺した聖人として有名な聖ジョルジョ(サン・ジョルジョ、聖ゲオルギウス)。普通は竜を退治した場面が描かれますが、この教会ではその竜を殺さず生け捕りにして女王に捧げ、女王がまるでペットのように竜を飼いならす描写があるのだとか。

こちらがそれ。

なるほど~確かに竜の首に紐が付いている。なかなか興味深いです!

それからこれは個人的に興味深かったシーン。

陸地にパンと魚を乗せたお盆が、おそらく木の枝を丸く囲った枠に動物の皮らしきものをピンと張るように作ったお盆なんだな、とわかるくらいには丁寧に描かれていて、面白いです。

最後にこれがミルティン王でしょうか。

教会を持って立っています。

 

プロホル・プチニスキの洞窟

全く知らなかったのですが、プロホル・プチニスキというセルビア正教の超有名聖人がいるのだ、と。で、この人が最初に修行を行ったという洞窟がここの教会のすぐ近く(道路渡ったところ)にある、ということで見せてくれました。

多分ものすごくありがたいもののようですが、全く知らない。。。11世紀の僧侶で、のちのビザンティン皇帝になるロマノス・ディオゲネスに対し、皇帝となることを予言した人だそうです。

en.wikipedia.org

さらにここから国境を越えたセルビアに入ってすぐのところに、この大聖人を祀るプロホル・プチニスキ修道院があるのだという。北マケドニアセルビアの敬虔な正教徒たちが必ず巡礼する重要修道院らしい。

日本に置き換えて考えてみると、歴史上の重要人物が祀られた神社のような、パワースポットと言ったら失礼かもしれないが、そんな扱いのようです。

maps.app.goo.gl

これらの話は、現地の管理人さんの説明をチャータータクシーの運転手が英語に訳して教えてくれました。感謝。さすがに国境を越えてプチニスキ修道院へ寄ろうか、という提案は断ったけれども、こうした話を聞けるのはとても興味深いしありがたいことです。

スタロ・ナゴリチノの聖ジョルジョ聖堂。とても良いビザンティン教会でした。

 

レスノヴォ修道院

レスノヴォ修道院は、ブルガリア人でレスノヴォのガブリルと呼ばれる僧侶が建てた修道院です。

ここは聖ジョルジョ聖堂から車で2時間ほど。

羊の群れ。

静かな山の中、渓谷を見下ろす、ハイキングにぴったりの立地にひっそりとありました。

こちらは現役で運営されている修道院です。

まわりの宿坊、庭、すべてに手入れが行き届いています。観光地ではなく修道士の生活と祈りの場という雰囲気が強くて、そういった現役宗教施設に特有の空気感・緊張感が漂ってました。

ここも典型的な美しいビザンティン建築です。ふつくしい・・・。

教会の建物を見ようとすると、後ろの素晴らしい景色が一緒に目に飛び込んでくる。

ちなみにこちら、女性はパンツスタイルのままでは教会内に入れません。足首までのズボンでもダメです。

入口でズボンの上から履くロングスカートを借りて教会内に入ります。

聖堂の手前にある広いナルテックスの構造。セルビア正教建築と似てるなと思いました。

残念ながら教会内部は写真撮影禁止です。なのでフレスコ画の写真がないのですが、寄進者の巨大な肖像画が印象的でした。

 

(続く)

北マケドニア旅行計画≫

  1.  見てない教会を見たくて、2度目の北マケドニア
  2. 2度目の北マケドニア。僻地の教会めぐり・行き方と観光ルート 

北マケドニア旅行記

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  6. さよなら北マケドニア。この国のアイデンティティ迷子具合に思いを馳せる