ピエロ・デッラ・フランチェスカとロレンツォ・ロットの絵画を見に、ウルビーノ→レカナーティ→ロレート→アンコーナ、ボローニャを経由して最後にアレッツォに行く旅行。初日はウルビーノ観光です。
目次
ペーザロ駅のウルビーノ行きバス乗り場
真夏のイタリア。午前中でもすでに相当暑い中、ペーザロ駅に到着です。ウルビーノ行きのバスは、駅を降りてすぐのところのバス停から出てます。
ここが乗り場です。バスの番号は46番。
切符はその辺の売店で買えます。
ウルビーノのバス停はショッピングセンターの地下階
何もない田舎の道をバスに揺られること45分。前方にすごくかっこいい城壁で囲まれた街が見えてきたら、ウルビーノはもうすぐです。
ところで、到着地はこんな感じの地下駐車場っぽいところ。
全然ウルビーノっぽくないけど、ここはいったいどこ?バス会社の表示とWelcome to Urbino。
さらに奥に行くとエレベーターがあって、なんとなく全貌がわかります。Centro Storicoというマークを目指して、エレベーターでP10というフロアまで登っていけば良さそう。
奥のエレベーターはP6までしか行きません。
P6で降りて、デパートみたいな雰囲気のフロアでエレベーターを乗り換え。最上階まで行くと、やっと外に出られました。
振り返るとこんな感じ。
道路の向かいには、ウルビーノのサンタ・ルチア門が見えるので、ここからいよいよウルビーノへ入城です!時刻は11時半過ぎ。
ホテルとランチ
サンタ・ルチア門から、街の中心に向かって、坂を下ります。
下りきったところで振り返る。
ホテルはこの広場からすぐ横の道に入ったところにある、立地の良い場所です。
古いけど街の真ん中にあって、値段もリーズナブルで使いやすいホテルでした。
あと、ここのフロントで主要観光施設のオープニング時間が書いてあるチラシをもらえます。これがなかなか便利でした。
イタリアは昼休みをがっつりとるところが多いです。そのくせ、特に教会なんかはホームページに時間の情報がなかったり、載せてても時間が変わってたりするので、現地で聞くのが一番確実なんですよね。
ウルビーノの観光時間は、この日の午後だけです。早く観光に入りたいので、簡単なお昼をとることにして、カフェに入りました。
右の写真のオレンジの飲み物は、イタリア人が夏によく飲んでいるアペロール・スプリッツというアルコールドリンクです。
簡単にパンと飲み物だけのつもりだったのですが、アルコールを注文すると、ポテトチップの小皿と大量のカナッペ盛り合わせみたいのが出てきました。太っ腹~。これだけでお腹いっぱいになります。
ドゥカーレ宮殿(国立マルケ美術館)
観光のはじめはまず、ドゥカーレ宮殿から。ここのピエロ・デッラ・フランチェスカを見に来ました!
はじめの方は装飾のある部屋をいくつか通りました。
ぼろぼろだけど、きっと素晴らしい部屋だったに違いない壁画のある部屋。
受胎告知の祭壇画。
こちらも受胎告知。
ピエロ・デッラ・フランチェスカの部屋
ピエロ・デッラ・フランチェスカの2作品は同じ室内に、巨大な解説パネルとともに置いてあります。
謎の3人を接写。
この絵の考察として4つの説が挙げられてました。英語だったのと、その場で見たときの記憶を頼りに書いてるので、細かいところがいろいろ違ってるかも。
- 手前の3人のうち、中央が暗殺されたウルビーノ公の弟、左右がウルビーノ公の弟の腹心の部下説。
- 手前の3人のうち、中央が暗殺されたウルビーノ公の弟、左右が暗殺実行者説。
- 手前の3人のうち、左が滅亡寸前のビザンツ帝国の皇帝ヨハネス8世説。(帽子と髭が皇帝の肖像画に似ているのだとか。)西側諸国に救援を求めている図で、キリストの鞭打ちは、イスラムに征服されそうになっている東方正教会の暗示なのだそう。
- 手前ではなく、奥にいてキリストの鞭打ちを見ているのがビザンツ皇帝ヨハネス8世説。(帽子だか靴だかが、当時のギリシャ人風スタイルなのだとか。)
4つの説のうち、後半2つはわりと新しい説だそうです。
気になったので、他に描かれたヨハネス8世パレオロゴスの肖像画を探してみました。
左はメディチリッカルディ宮に描かれたゴッツォリのヨハネス8世、右がピサネッロ制作のヨハネス8世のメダル。
似てる・・・?似てる気がします。
この皇帝は、フィレンツェ公会議の出席のため、コンスタンティノープルからフィレンツェを訪れているので、実際見た人も多かったことでしょう。
ちなみにこの絵、板の上に描かれているのですが、けっこう反りが激しいです。ちょっと不安になる。
もう一つの作品、「セニガリアの聖母」はこの奥にあります。
セニガリアっていうのは地名みたいですね。これもすごくいいです。
聖母子とも一重?なんか目が小さくて東洋的な顔をしています。
それから、かつてピエロ・デッラ・フランチェスカの作品と言われていたけど、今は違う作者のものということが分かっている「理想都市」。
同じ部屋にありました。けっこう大きいです。
木象嵌の部屋
あと、この宮殿には素晴らしい木象嵌の部屋があります。タルシアと言ったりします。この木を使ったはめ込み細工、イタリアでしか見ないんですが、精巧でだまし絵みたいに立体的に見えて、好きです。
写り込みがあってあんまりいい写真が撮れませんでしたが、すごく見応えがありました。
左の方に見える、扉が開いているような木象嵌。立体的に見せかけて実は平面です。だまし絵感半端ない。
そのほか良かった作品
ロレンツォ・ロットの作品も、一つありました。
聖痕?を自慢げに指さす聖ロッコ。なんか傷が生生しいです。
次、この絵。
この肖像画のこの横顔。ウルビーノ公爵のフェデリコ・モンテフェルトロに違いない。誰が描いても特徴のある顔というのは、絵の中で知り合いに会ったような親近感が沸きます。
それから、ウルビーノの生まれのラファエロの作品もありました。
ウルビーノはルネッサンスの理想都市
ドゥカーレ宮殿を出ました。となりの大聖堂。
向かいの教会。
教会の前にはオベリスク。
観光地にはつきものの、ミニトレイン。坂が多いところだと楽しいかもしれない。
ウルビーノは文武両道のフェデリコ・モンテフェルトロ時代に最盛期を迎え、その時に作られた街並みが、理想都市と称えられたのだそう。
その街並みは今もほとんど変わっていないみたい。同じ色の建物が並ぶ様子は綺麗で、ごちゃごちゃしたところがなくてすっきりと整然。
あとついでに言うと、アクセスしにくい場所だからか?あんまり観光客で混雑してなくて、のんびり観光を楽しめます。
ペーザロからのバスで向かう途中の景色は、ほんとにどこにでもあるような、別にきれいでも何でもない田舎の風景なので、ここに来たときのギャップがすごいです。
公爵マークのジェラート屋で休憩。
(続く)
- ピエロ・デッラ・フランチェスカ目当てにウルビーノへ ⇐今ココ
- 小さいけどけっこう面白い。城壁で囲まれた、ルネッサンスの理想都市
- アンコーナ経由。ロレンツォ・ロットの絵を見に、丘の上の城壁の街レカナーティへ行く
- スピリチュアルってだけではなさそう。ロレートの聖なる家
- 2時間弱のアンコーナ観光。岬のてっぺんの大聖堂と、坂の途中の魅力的な教会
- アレッツォ半日観光。グランデ広場周辺と、古い教会
- 聖十字架伝説ほか、ピエロ・デッラ・フランチェスカのフレスコ画を見る