超個人的★ヨーロッパ旅行のHow To

ヨーロッパに住んでいる旅行好きです。バックパッカー、キャンプ、ユースやドミトリー泊などはしません・・・。公共交通機関(やタクシー)ばかり利用してきた、これまでの個人旅行記録と旅のHow To。

【ウルビーノ、マルケ州とアレッツォ】ルネサンスの都市ウルビーノから始める、絵画目当てのイタリア夏の旅(5日間)

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ルネッサンス時代に栄えた都市で、有名な街はいくつかありますが、どうにも行きにくい場所にある街もあります。その一つが、ピエロ・デッラ・フランチェスカの絵画があるウルビーノ

2018年7月、ついにウルビーノに行くことにしました。行きにくい場所ついでに、同じマルケ州の小さな街、レカナーティとロレートでロレンツォ・ロットの絵画を見て、最後はアレッツォまで移動することにしました。

 

目次

 

 

ルネサンスの理想都市、ウルビーノとピエロ・デッラ・フランチェスカ

ルネサンス初期の画家、ピエロ・デッラ・フランチェスカウフィツィ美術館にあるこの画家の作品、「ウルビーノ公爵夫妻の肖像画」は、自分の好きな絵のひとつです。

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この絵の背景となっているルネサンス都市、ウルビーノ。いつか行ってみたいと思ってた街をこの旅行で行ってこようと思います!

 

ウルビーノで見たいもの・キリストの鞭打ち

ピエロ・デッラ・フランチェスカは、そこまで作品数の多い画家ではありません。

少ない作品のうち、上に出した「ウルビーノ公爵夫妻」の絵のほかに、気になって仕方ない絵がこちら、「キリストの鞭打ち」です。

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ウルビーノの国立マルケ美術館にあります。一般的に、この絵は謎が多いと言われているようですが・・・。

「この絵には謎が隠されているんです!」とか言われなくても、素人目にも何がテーマなのかよく分からない、変わった構図が目を引きます。

国立マルケ美術館は、ドゥカーレ宮殿(公爵宮殿)内にあり、ウフィツィ美術館で見たウルビーノ公爵夫妻がかつて住んでいたとこ。この美術館には、同じ画家のものでは「セニガリアの聖母」という作品も所蔵しています。

 

ピエロ・デッラ・フランチェスカつながり・・・アレッツォ

ピエロ・デッラ・フランチェスカの作品のうち、イタリアで見ることができるものでは、アレッツォの教会に描かれたフレスコ画があります。

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聖十字架伝説の場面を描いたものです。

聖十字架伝説というのは、キリストが磔にされた十字架にまつわる物語。13世紀には「黄金伝説」という本にも書かれたものです。

現代ではあまり聞き覚えのない、馴染みの薄い物語ですが、当時は誰もが知る話だったのかもしれない。ストーリー仕立てのカラフルなフレスコ画、これもぜひ見てみたい!ということで、アレッツォにも行くことにしました。

 

アレッツォ郊外・サンセポルクロ、モンテルキ

アレッツォの郊外にあるサンセポルクロやモンテルキの街にも、ピエロ・デッラ・フランチェスカの傑作と言われる絵画が残されています。サンセポルクロはこの画家の生まれた街だそう。時間があればぜひこちらにも遠征したい。

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キリストの復活@サンセポルクロ

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出産の聖母@モンテルキ

 

ウルビーノの見どころ

鉄道駅がない、ウルビーノ。ペーザロ駅からバスで訪れることになる丘の上の城壁の街は、ルネッサンス期から今も変わらない街並みなのだそう。

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上記のピエロ・デッラ・フランチェスカの絵があるほかにも、あのラファエロ・サンツィオの生まれた町でもあります。今でも残るラファエロの生家は、一般に公開されています。

f:id:tabikichi:20190110041759j:plainRaphael's House - Urbino Tour Guide

イタリアらしい、ルネサンスの雰囲気をたっぷり味わえそうな街です。

 

アレッツォの見どころ

アレッツォはフィレンツェ、ピサやシエナと同じトスカーナ州の街。

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ピエロ・デッラ・フランチェスカフレスコ画は、サンフランチェスコ教会にあります。見学は予約制。

f:id:tabikichi:20190114230339j:plainArezzo - Basilica di San Francesco - Polo Museale della Toscana

アレッツォのドゥオモにも、ピエロ・デッラ・フランチェスカフレスコ画が残っているそう。

他に、あの「芸術家列伝」を著したヴァザーリの家、なんてのもあります。

ちょっと前には、映画「ライフ・イズ・ビューティフル」のロケ地となったことでも有名のようです。

石造りの街並みが美しいトスカーナの街。路地や広場を歩くのが楽しそうなところです。


マルケ州の街、レカナーティとロレンツォ・ロット

ウルビーノとピエロ・デッラ・フランチェスカの話題から一転して、この旅行では、ついでにマルケ州の街、レカナーティに行くことにしました。

というのも、ずっと見てみたかった絵がこの街にあるから。

それが、ヴェネツィアで生まれた画家、ロレンツォ・ロットの受胎告知です。

 

受胎告知

美術館で、あれ、なんかこれ面白いな・・・と思って作者名を見たら、ロレンツォ・ロットの作品だったということが何度かあります。

そんなことからも、この画家が気になり始めました。

この画家はヴェネツィアではあまり認められなかったようで、イタリア各地を放浪してます。放浪先となったローマ、ベルガモアンコーナ、レカナーティ、そして生涯の最後を過ごしたロレートに作品が多く残っています。

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実物を見てみたかった「受胎告知」がこちら。受胎告知は多くの画家に描かれたテーマですが、こんな構図のものは他に知りません。

ロットは何を思ってこう、「驚いて逃げる」マリアの絵を描くことにしたのか、そして実際描き上げてしまったのか。作者の心理過程にすごく興味がわきます。

この絵は、行きにくいウルビーノと同じ、マルケ州のレカナーティにあります。この絵を見に、レカナーティにも行くことにしました。

 

ロレート・・・ロットの晩年の作品と聖母の家

レカナーティのすぐ近くにあるロレートは、ロレンツォ・ロットが死ぬ前に過ごした街で、晩年の作品がいくつか残っています。ということでこちらも旅程に追加。

でもこの街は、ロットの作品よりも何よりも、イスラエルのナザレから持ってこられたという「聖母マリアの家」という超特級の聖遺物があることで有名です。

f:id:tabikichi:20190115213517j:plainSantuario della Santa Casa di Loreto

現在でも世界中から信者が訪れる巡礼地です。

ロレンツォ・ロット目当てではありますが、聖母の家というのもぜひ見てみたい。

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ウルビーノ、アレッツォ、レカナーティ、ロレートの位置関係

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見たい絵を見に行く。と思って決めた行き先ですが、地図にするとこんな感じです。

ウルビーノとレカナーティ、ロレートはマルケ州の都市。そして、どの街も鉄道の駅がありません。厳密にはロレートにはちっさい鉄道駅がありますが、完全に近郊路線のみで、あんまり便利そうじゃありません。公共交通機関派としては、ちょっと躊躇する旅行先。

トスカーナ州のアレッツォには鉄道駅があって、フィレンツェから行きやすそうですが、郊外のサンセポルクロ、モンテルキに行くにはバス移動になります。

 

ボローニャ起点でマルケ州トスカーナ州に行ける

鉄道駅のないウルビーノはペーザロ駅からバス、レカナーティとロレートはどちらもアンコーナ駅からバスが出ています。とりあえず鉄道でペーザロ、またはアンコーナの駅まで行くことが必要。

今回は5日間を使って、行きにくそうなこれらの街を欲張りセットにして、ボローニャ空港→ペーザロ駅経由でウルビーノアンコーナ駅経由でレカナーティ、ロレート、ちょっとだけアンコーナ、そしてボローニャ経由でアレッツォを回ってみることにしました。

各都市間の交通に要するおよその時間はこちら。

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詳しい観光日程やバス時刻など、行き方は次の記事で。

 

(続く)

CREA Traveller 2014Autumn NO.39 [雑誌]

ウルビーノマルケ州とアレッツォ旅行計画≫

  1. ルネサンスの都市ウルビーノから始める、絵画目当てのイタリア夏の旅 ⇐今ココ
  2. 各都市への行き方と5日間の観光ルート

ウルビーノマルケ州とアレッツォ旅行記

  1. ピエロ・デッラ・フランチェスカ目当てにウルビーノへ
  2. 小さいけどけっこう面白い。城壁で囲まれた、ルネッサンスの理想都市
  3. アンコーナ経由。ロレンツォ・ロットの絵を見に、丘の上の城壁の街レカナーティへ行く
  4. スピリチュアルってだけではなさそう。ロレートの聖なる家
  5. 2時間弱のアンコーナ観光。岬のてっぺんの大聖堂と、坂の途中の魅力的な教会
  6. アレッツォ半日観光。グランデ広場周辺と、古い教会
  7. 聖十字架伝説ほか、ピエロ・デッラ・フランチェスカのフレスコ画を見る