超個人的★ヨーロッパ旅行のHow To

ヨーロッパに住んでいる旅行好きです。バックパッカー、キャンプ、ユースやドミトリー泊などはしません・・・。公共交通機関(やタクシー)ばかり利用してきた、これまでの個人旅行記録と旅のHow To。

【ロレート旅行記】スピリチュアルってだけではなさそう。ロレートの聖なる家

ピエロ・デッラ・フランチェスカとロレンツォ・ロットの絵画を見に、ウルビーノ→レカナーティ→ロレート→アンコーナボローニャを経由して最後にアレッツォに行く旅行。3日目、ロレート旅行記です。

目次

 

 

まちがって裏から入る

ロレートの街は普通の街です。

が、ロレートの聖なる家大聖堂と呼ばれる巡礼地の教会だけは、教会そのものが要塞となっており、小高い丘の上、城壁で囲まれた場所にあります。

さて、レカナーティのバスで出発したあと、運転手とコミュニケーションの取りにくい後ろの席に座ってしまいました。

15分ほどで、あれ?ここもうロレート?と思ってるうちに、ロレートの大聖堂のでっかいドームを通り過ぎてしまう。

慌てて次の停留所で降りた場所が下の地図の右下の方。正しく降りるべきは左下の方。青い道が正しい参拝の道、赤い道が間違った道です。

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この赤い道。歩道もないような道で、ひたすら坂を上ります。。。暑かった。

青い道は、要塞教会の入口っぽい大きな門をくぐって、キリスト教グッズの売っている参道を抜けて教会前に出るという、まさに聖なる家の参拝の正道です。

裏からみた要塞教会。ドームは教会っぽいですが、塀とか周りの建物はほんと、城塞って感じ。

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そこの裏門っぽいところから入りました。

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これが大聖堂です。

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なにやら輪になって歌ったり朗読したりしている集団。こういう集団がいるところが、すごく巡礼地っぽいです。

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巡礼も良いですが、目当てはロレンツォ・ロットの作品群なので、まずは絵画館へ行きます。

絵画館はアーチの連なる回廊の二階にありました。

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絵画館でロレンツォ・ロットを見る

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ここ、とても残念なことに写真撮影が禁止でした。

なので、インフォメーションにあったポストカードを撮ったもの。

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ロレンツォ・ロットの作品を並べた、こういう贅沢な部屋があるんです。

何枚もの作品をたくさん見られて、良かったです。下の写真はホームページより。好きなテーマ、洗礼があって嬉しかったです。

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下は未完の作品だそうです。色がまだあまり乗ってません。真ん中のテーブルの脚が足。

f:id:tabikichi:20190124110929j:plainMuseo Pontificio Santa Casa di Loreto

小さな部屋ですが、見応えありました。

この絵画館ではロットの作品の他に、ロレートの聖なる家伝説に基づいた、天使が家を運んでいる絵などがたくさんありました。

 

ロレートの聖母の家とは

エルサレム近郊のナザレにあって、聖母マリアが家族と暮らしていた家です。受胎告知を受けたのもここ。

伝説によると1294年、イスラムのナザレ侵攻の前に、奇跡が起きて天使がこの家をロレートに運んだのだそうです。

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巡礼者に混じって観光

ロレートの聖母の家の伝説、これを聞いてどう思いますか?

旅行前にこの伝説を知った時は、正直、これまたトンデモ聖遺物だわー、と思いました。

トリノ聖骸布みたいなものかと。

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廊下のパネルと大聖堂

なお、大聖堂内に入るまでの廊下に、聖母マリアの家が本物である!という証拠みたいなのを写真と文章で説明したパネルが延々と貼られているのですが、それも、まあ、生暖かい目で見てました。

ところが。実際にそのものを見て、あれ、これもしかして本物なんじゃない?と思ってしまいました。

それまでのローマ・カトリック〜な聖堂の雰囲気ががらっと変わる。全く異質な古代の空間になるのです。

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聖なる家はこの中にありますが、写真撮影が禁止。上の豪華な彫刻は、聖なる家を取り囲むためにあとから作られたものだから、コレじゃないですよ。

参考写真はホームページより。見た目からして古いものとわかる、すごく・・・イタリアっぽくない、プリミティブな、石を積んだ壁なのです。強化ガラスかプラスチックで保護されている古い傷や文字も見えます。

f:id:tabikichi:20190124203937j:plainSanctuary of the Holy House of Loreto

俄然興味が湧いてきて、お土産ショップで、一番簡単そうなパンフを買いました。残念ながら日本語のパンフや本というのは一切なくて、仕方なく英語で。

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それによると、聖母マリアの家っていうのは現地ナザレにあったときからよく知られた聖地であり、古くから、これを保護するようにビザンツ帝国の教会が建てられていたり、十字軍がエルサレムを一時支配した時期にも護衛を付けていたり、それなりに有名な場所だったそう。

伝説で「イスラム人のナザレ侵攻から守るため、天使が運んだ」とされてますが、研究の結果、船でまずクロアチアに運ばれ、それからロレートに来たということが分かっているらしい。実際、運ばれたとされる年代は、イスラム人のナザレ侵攻がありました。では何故ローマではなくロレートなのか?

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「天使が運ぶ」のレリーフ

じつはこの時代、ローマ法王庁は混乱の続いていた時期。

教皇がいないという前代未聞の2年間のあと、1294年にローマ教皇となったケレスティヌス5世は、一歩もローマに足を踏み入れないまま、半年でその職を辞しています。(その次の教皇が憤死で有名なボニファティウス8世。)

で、その期間、法王庁で聖遺物を管理する職務に就いていたのが、レカナーティの司教だったとのこと。

それでおそらくその人が、イスラムの侵攻でナザレの聖母マリアの家が危ない、ということで、ローマ法王の名の下に、聖母マリアの家を自分の司教区に運ばせたのではないか・・・ということです。

ちょっと悪い言葉で妄想してみると、聖遺物担当になったレカナーティ司教が、法王がローマにいない間にこれ幸いと、職権で好き勝手やった、と。

聖母マリアの家というと、聖遺物の中でも超特別級っていうか、ランキング上位一桁台って感じかと思われます。自分の司教区に運べば、巡礼者が増えて司教区も懐も潤う、ということでしょう。(ロレートは当時レカナーティの司教区の一部だったのかも。)

ここまで背景が分かればしっくり来る!

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自分はキリスト教信者ではないですが、イエス・キリストと呼ばれた人間がいたということは史実だと思ってます。それでもちろん、その家族も実際にいた、と。

この聖なる家も、本当に聖母マリアが住んでいた場所かどうかは推測でしかないけど、古代のイスラエルの地にあって、人々が「聖母マリアの家」として守り続けたものを、この地まで運んできたもの、というところまではどうやら本当っぽい気がします。どうでしょう。

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他にも本物である理由として、石の積み上げ方がパレスティナで見られるパターンと同じだとか、ヘブライ語の落書きがあるとか、いろいろと研究されてます。

最初からトンデモ系だと思って、大変失礼な態度で来てしまいました。 

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それから、ロレート教会の要塞っぷりも威圧感がすごいです。特に裏から入ってしまったためか、ガチガチの守りっぷりにちょっと引いてたんですが・・・。

それも聖母の家を守るためってことですね。

聖母の家の中に入ると、古いもの特有の空気感が濃くて、信者でなくてもぐっとくるものがあります。遺跡好きの人なども楽しめるかもしれません。

後日実際に訪れてみたイスラエル・ナザレの街はこのようなところでした。

tabikichi.hatenadiary.com

 

ランチを取ったら、バス停を探す

ロレンツォ・ロットの作品と大聖堂を見たので、次はお昼ごはん。

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大聖堂前の広場に通じる賑やかな通りを歩きます。本来はこの道を通って聖地まで行きつくという道です。

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でも、食べ物のお店よりも、聖母マリアキリスト教グッズのお店の方が多い。

結局この通りではなく、階段を降りた普通の街にあるレストランで食事にしました。

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そのあと、大聖堂のインフォメーションでバスチケットを買える場所を確認しました。「門をでて郵便局の前を通ったら、坂道の途中にあるプレッティというカフェがあるのでそこで買える」との説明。

これが参道の入口となる門です。

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坂道の途中のプレッティバーは何度か道を行き来して見つかりました。

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観光客がよく買いに来るみたいで、バス時刻表が貼ってあり、次のアンコーナ行きのバス時間と、バス乗り場を教えてくれました。カフェの後ろの道路で、花屋の前、らしい。

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ここです。そして、前の喫茶店というのがこちら。

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バスの時間(3時)まで時間があったのでここでコーヒーを飲みました。

バスに乗ったら終点のアンコーナで降りて、少し観光する予定です!


(続く)

ウルビーノマルケ州とアレッツォ旅行計画≫

  1. ルネサンスの都市ウルビーノから始める、絵画目当てのイタリア夏の旅 
  2. 各都市への行き方と5日間の観光ルート  

ウルビーノマルケ州とアレッツォ旅行記

  1. ピエロ・デッラ・フランチェスカ目当てにウルビーノへ 
  2. 小さいけどけっこう面白い。城壁で囲まれた、ルネッサンスの理想都市 
  3. アンコーナ経由。ロレンツォ・ロットの絵を見に、丘の上の城壁の街レカナーティへ行く 
  4. スピリチュアルってだけではなさそう。ロレートの聖なる家 ⇐今ココ
  5. 2時間弱のアンコーナ観光。岬のてっぺんの大聖堂と、坂の途中の魅力的な教会
  6. アレッツォ半日観光。グランデ広場周辺と、古い教会
  7. 聖十字架伝説ほか、ピエロ・デッラ・フランチェスカのフレスコ画を見る