2017年8月。中期ビザンティン時代のビザンティン建築と、内部のモザイク装飾を見に、ギリシャに行きます。
目次
ビザンティン時代中期、11世紀の修道院建築
2017年8月。ギリシャと言えば、西洋の文化の源、古代ギリシャとギリシャ神話というイメージが大きいですが、自分にとってはもっぱら、ビザンティン帝国の末裔であり、ヨーロッパ世界でも東側、東方正教会(ギリシャ正教)の2000年の歴史を残すキリスト教国です。
この年の6月、テッサロニキで世界遺産となっている初期キリスト教建築、そして中期~後期ビザンティン建築を堪能してきたところですが、同じビザンティン時代の建築として、11世紀のモザイクが有名な「ネア・モニ修道院、ダフニ修道院、オシオス・ルカス修道院」という世界遺産群があるらしい。
これら3つの修道院の共通点は、ビザンティン時代中期(11世紀)につくられたことと、同様式(ドームを支える部分にスクィンチと呼ばれる土台を使って8角形になっている)で作られたところ、11世紀につくられたモザイクが現存しているというところだそうです。
スクィンチ。四角形の上に丸いドームを載せるために、4つの角のところに造られる土台・・・みたいなものです。下の写真でいうと、四隅の扇形っぽく見えるところ。
https://de.wikipedia.org/wiki/Trompe
読んだ本によると、この様式はアルメニアからコンスタンティノープルを経由して、ビザンティン帝国内に広まったと思われる、と書いてありました。これを知ったとき、以前アルメニア旅行に行ったときにもスクィンチを見ていたことを思い出しました。
大きいアーチの間に小さいアーチがあるの分かりますでしょうか。これがスクィンチ。
上記はアルメニアの7世紀の建築・聖フリプシメ教会の内部です。ちなみに外側はこのような外観。アルメニアの教会建築もビザンティン建築ということになってますが・・・かなり個性的な外観が大好きです。
ギリシャの話に戻ります。11世紀に建造され、さらにモザイク装飾が施されているもので、ギリシャに現存しているのは「ネア・モニ修道院、ダフニ修道院、オシオス・ルカス修道院」の3つの修道院だけで、大変貴重なのだそうです。
それじゃあ、ということでこれらを見に行くことにしました!
ダフニ修道院、オシオス・ルカス修道院、ネア・モニ修道院
世界遺産の3つの修道院は、ギリシャ国内に散らばっています。ダフニ修道院はアテネから車で30~40分、オシオス・ルカス修道院はアテネから車で2~3時間、ネア・モニ修道院はほとんどトルコっていうくらい東側にあるヒオス島内で、この島はアテネから飛行機で1時間です。
ダフニ修道院
その建築の大きさにもかかわらず、設立に関する文書が失われているため、どのような経緯で建てられたか不明の修道院。建築様式から11世紀後半のものと言われているようです。地震被害のため、内部のモザイクも含めかなり損傷が激しく、長期間にわたって修復中。(見学は可能。)
Ministry of Culture and Sports | Monastery of Daphni
火曜と金曜の8時から15時まで。
1月1日、3月25日、12月25日、12月26日は休み。
オシオス・ルカス修道院
アテネからデルフィ神殿に行く途中、少し外れたところにある修道院。9世紀、修道士ルカスという人物が、病気を治癒したりなどの奇跡を行っていたことから、彼の死後、その墓が巡礼地となり、その上に建てられたのがこの修道院ということです。建築は11世紀。当時のモザイクがきれいに残っているようで、楽しみです。
Ministry of Culture and Sports | Monastery of Osios Loukas at Steiri Boiotia
冬は8時から15時まで、夏は10時から17時まで。
http://www.osiosloukas.gr/site/
こちらのサイトによると毎日10時から17時まで。
ネア・モニ修道院
11世紀、2人の修道士が、当時ヒオス島近くに追放されていた貴族コンスタンティン・モノマコスに対し、のちの皇帝になると予言。実際にコンスタンティヌス9世となったモノマコスは、予言した修道士らに免税や建物の寄進などを行いました。このような皇帝の庇護のもと、ネア・モニ修道院も建てられたものだそう。なお、ネア・モニとは「New Monastery」の意味。
ドームは地震などで壊れており、今あるものは新たに再建されたもの。内部にはモザイクが残っています。
http://www.neamoni.gr/
修道院:毎日夜明けから日没まで、ただし13時から16時を除く。
修道院博物館:火曜から日曜の8時から13時まで。月曜休み。
Ministry of Culture and Sports | Nea Moni at Chios
毎日8時から15時まで。
出ました~サイトによって開館時間が全然違う、の巻。修道院のホームページっぽく思える上のURLの情報を信じることにしますが、これも信用ならないので、訪問前に問い合わせようと思います。
3つの修道院の観光日程と宿泊地
このバラバラな地域の世界遺産をまとめて見るため、全体で4泊5日、ヒオス島に2泊、アテネに2泊ということで行ってくることにしました。
1日目の12:00から5日目の15時頃まで、所要丸4日と3時間です。
1日目(土)12:10ヒオス島空港着
2日目(日)ネア・モニ修道院
3日目(月)12:35ヒオス島空港発 13:25アテネ空港着
4日目(火)ダフニ修道院、オシオス・ルカス修道院
5日目(水)17:30アテネ空港発
ここで注意しておくのは、ダフニ修道院。火曜と金曜しかオープンしていないので、4日目の火曜日は何が何でもダフニ修道院に行かなければなりません。
ヒオス島のホテルはここにしました。空港とヒオスタウンの間にあって、リゾート感もあってよさげ。
Grecian Castle Chios
アテネ市内のホテルは、ダフニ修道院までのバスが出るエレフテリオス広場のバス停に近い、というだけの理由で以下のホテルを取りました。
Evripides Hotel
アルメニア建築とスクィンチはこの本が分かりやすいです。
- 作者: 蔵前仁一,石井光太,吉田一郎,渡邉義孝,旅行人編集部
- 出版社/メーカー: 旅行人
- 発売日: 2007/12/01
- メディア: 雑誌
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アルメニアから伝わったらしい、というのはこの本から。
Byzantine Architecture (History of World Architecture)
- 作者: Cyril A. Mango
- 出版社/メーカー: Rizzoli
- 発売日: 1985/10/01
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(続く)
- ヒオス島の世界遺産、11世紀のネア・モニ修道院に行ってみた
- ヒオス島内のビザンティン教会と、ピルギ村・メスタ村の観光
- ダフニ修道院とオシオス・ルカス修道院
- アテネ市内のビザンティン教会いろいろ
- 食べ物編。ヒオス島とアテネ市内で食べた、美味しかったもの