2017年10月。魅惑の北イタリア。ミラノから1時間半の古都ヴェローナ。ロミオとジュリエットの舞台でおなじみだけど、調べてみるともっともっと面白そうな街でした。
目次
調べてみた、ヴェローナという街
イタリア・ヴェローナと言えば、おなじみ「ロミオとジュリエット」の街。実話かどうかは別として、モデルとなった貴族の家が本当にあったようです。有名なのは「ジュリエットからの手紙」というキュートな映画。これで有名になった「ジュリエットの家」と、ついでに「ロミオの家」というのも観光名所になってます。
あと、夏に行われる野外オペラ。ローマ時代のアレーナを会場に、毎年行われています。ローマ時代の施設を今も使っているってロマンありますよね。
そう、ローマ時代。ヴェローナって調べてみると古くて歴史があって、昔から観光地で芸術もさかんな街でした。アディジェ川の向こう側にはローマ時代の円形劇場があります。その近くに架かっているピエトラ橋も、もともと古代ローマ時代に架けられていたもので、現在でもローマ時代に造られたところが残っているそうです。
ローマのコロッセオに次ぐ大きさを誇るアレーナは、ルネッサンス時代には、古代ローマ、古代都市の象徴として語られてきたそう。また、18世紀にはすでにアレーナは観光名所だったようで、少年時代のモーツァルトが父親とともにイタリア旅行の際、ヴェローナに立ち寄っています。当時のヴェローナはイタリアオペラが盛んな街だったようで、オペラを聴いたり、教会で即興曲を演奏したり、少年モーツァルトの名声を高める旅になったのだとか。
今でもエルベ広場を中心として12世紀の中世の街並みが残っています。
それと、これはちょっと個人的興味の話ですが、イタリア宗教画でかなりの頻度で見る、頭に肉切り包丁のぶっ刺さった聖人。この人、ヴェローナの聖ペテロ(ペトルス/ピエトロ)と言ってヴェローナ出身のドミニコ会の異端審問官なのです。
ヴェローナはヴェネツィア支配下の都市だった歴史があり、ティントレットやヴェロネーゼといったヴェネツィア派の画家の作品も豊富にあります。カステルヴェッキオというお城はそのまま美術館になっていて、そのコレクションが面白そう。
これは行った後だから書ける感想ですが、行く前には名前を聞いたことある程度だったピサネロという画家がいます。色使いがやわらかで線が細く、繊細なタッチが印象的。市内にあるいくつかの教会ではピサネロのフレスコ画を見られます。作品数が少ないピサネロの絵画を、ここヴェローナでは結構まとまってみることができるんです。
こんなにたくさん魅力ポイントのあるヴェローナを、新興勢力(ロミジュリ)だけで語ってしまうのはもったいない。
ヴェローナで行ってみたい教会群
ローマ時代の遺跡も発掘される古都ヴェローナ。でもイタリアの街ですから、キリスト教の教会も古いものがたくさんあります。もともと教会好きなので、気になった教会をいくつかピックアップ。
サン・フェルモ教会
5世紀に建てられ、その後増改築を繰り返された教会。地下階がロマネスク、上階がゴシック様式という混合様式の教会。見どころはピサネロのフレスコ画、受胎告知。
月曜~土曜10:00 - 13:00、13:30 - 17:00 日曜13:00 - 17:00
http://www.chieseverona.it/
サン・ゼーノ教会
ヴェローナの守護聖人聖ゼーノをまつる教会とのこと。サンゼーノが亡くなったのは4世紀、現在の建物は11世紀のものだそう。ちなみに聖ゼーノさんは、初期キリスト教時代の異端、アリウス派と闘ったヴェローナ司教です。ヴェローナの守護聖人ですが、上述のヴェローナの聖ペテロに比べると宗教画などではほとんど見たことありません。
月曜~金曜10:00 - 13:00、13:30 - 17:00 土曜10:00 - 18:00 日曜12:30 - 17:00
http://www.chieseverona.it/
ドゥオーモ
ヴェローナのドゥオモは初期キリスト教教会の上に建てられたもののようで、やはりこれも、ロマネスクとゴシックの混合様式とのこと。
月曜~金曜10:00 - 17:00 土曜10:00 - 16:00 日曜13:30 - 17:00
http://www.chieseverona.it/
聖アナスターシア教会(サンタナスターシア教会)
ゴシック様式の教会。ここでもピサネッロのフレスコ画が有名。
月曜~金曜10:00 - 17:00 土曜10:00 - 18:00 日曜13:00 - 18:00
http://www.chieseverona.it/
以上、ガイドブックにも載っている主な教会です。これらの教会にももちろん行くのですが、個人的に下調べで気になった教会をご紹介。
サンタ・マリア・イン・オルガノ教会
開館時間:教会の行事時間以外(つまり不明)
http://www.turismoverona.eu/nqcontent.cfm?a_id=35983&lang=en
ここの教会で何が気になったかというと、「タルシア(木象嵌)」と呼ばれる、箱根寄木細工みたいに木片をはめ込んで作られた絵が豊富にあるらしいところです。
タルシアについては、ベルガモでのロレンツォ・ロットを調べる過程で知りました。イタリア・ルネッサンス時代に、タルシアが流行したらしく、ロレンツォ・ロットもその下絵を描いたものが、ベルガモの教会に残っているというので、それも見に行きました。
箱根寄木細工と違って、ただの幾何学模様ではなくて、ちゃんと絵になってます。他のインターネットのサイトには、ルネッサンス時代の遠近法とか、一点透視法みたいな技術と合わせて流行したのだ、とそんなようなことが書いてありました。木の種類による色とか暗さとか、そういうものを効果的に使って描かれてます。
ただ、このタルシア、ほとんどすべてが教会の参事会席の座席の背面とか、聖具室とか、ふつうの教会見学では立ち入り禁止のゾーンによく使われているんですよね。ベルガモでも、本当はもっとたくさん見たかったのですが、見ることができたのはこの写真の2枚だけでした。
ところがどうも、このサンタ・マリア・イン・オルガノ教会では、タルシアを間近に見れるみたいなんですよね。うーん、これは期待が大きい。ぜひとも行ってみたいところです。
サント・ステファノ教会
開館時間:不明
http://www.turismoverona.eu/nqcontent.cfm?a_id=35957&tt=turismo
こちらも5世紀に建てられた初期キリスト教時代の教会なのだとか。八角形の塔が印象的。
サン・ジョルジョ・イン・ブライダ教会
開館時間:不明
http://www.verona.net/it/monumenti/chiesa_san_giorgio_in_braida.html
ティントレットがあるという情報をインターネットで発見。それを見にいきます。
サン・トマソ・カントゥアリエンセ教会
開館時間:不明
ウェブサイト:見つからず
13歳だか14歳だかのモーツァルトがここでオルガンを弾いたらしい。ちょっと見に行ってみたい。
・・・ということで、だいぶ行きたい教会が増えてしまいましたが、今回はカステロヴェッキオとその美術館、橋や門などのローマ時代の街並みを楽しみつつ、各種の古い教会を楽しむことにしました。
ヴェローナの観光時間と宿泊地については、次の記事で。
(続く)
≪ヴェローナ旅行計画≫