イタリアのつま先、カラブリア州のビザンティン教会を見に行く旅行記、その4です。ロッサーノの駅からタクシーで山を登り、サンタ・マリア・デル・パティーレ修道院を見てきました。
ロッサーノの駅でタクシーを呼ぶ
ロッサーノの駅からロッサーノの街、それから目的地のひとつのサンタ・マリア・デル・パティーレ修道院は、けっこう離れています。
ロッサーノの駅からの移動方法は、ホテルに送迎を頼むか、またはタクシーを呼んでもらうか考えていました・・・が、迷ってるうちに旅行日になったので、駅で直接タクシーを呼ぼう。ということで、前日のうちにロッサーノのタクシー会社を検索して、一番上に出た会社の番号を控えておきました。
電車が30分ほど遅れて、ロッサーノの駅に着いたのが3時過ぎです。
駅の外に、調べてたのと同じタクシー会社の電話番号が貼ってありました。
電話。英語が通じました。行き先はカタカナ発音で「サンタ・マリア・デル・パティーレ」と言えばすぐわかってくれます。
タクシーに乗り込み、市街地を抜けてあっという間に山道。急傾斜の山道をくねくね、長いこと登っていく。かなり山奥です。
サン・マリア・デル・パティーレ修道院
到着。
じゃーん。
3つの後陣のふくらみが美しいです!ノルマン・ロマネスク様式だそうです。
スティーロもそうだけど、イタリアでこのような、あんまりカトリックっぽくない、ビザンツな雰囲気の異国情緒あふれる教会建築を見ると、レア感に興奮して震える。震えるは言い過ぎですが、なんつーかレア度の高いお宝を発見している気持ち。
やっぱ・・・良いですね!良い形。
メダイヨン?装飾的なタイルです。
反対側にぐるっと回る。山の中にあるのに、かなり広い敷地です。
この修道院は11世紀末に、シメリという修道僧が中心となり、ノルマン王ルジェーロ二世の援助を受けて建てられたもの。南イタリアで最も繁栄した巨大修道院施設だったようです。
というわけで、巨大複合施設だった修道院の、いろんな建物の廃墟っぽいものも残ってます。
なおパティーレというのはギリシャのpatèr(父親)から来ていると思うんですが、「教父」の意味で、4世紀の偉大な教父、バシレイオスのことを指すらしい。バシレイオス派の修道院、ということになるみたいです。(ウィキペディアではただ「父」として建国の父への献身の表現、と書いてあってよくわかりません。)
シメリはその後ここの修道院長となりますが、コンスタンティノープルにも出かけて、ビザンツ皇帝とも会っていたりなど、ローマ教皇を頂点とするカトリック者ではなく、東側のキリスト教者だったようです。(時代的に、東西キリスト教の分裂が決定的になるあたりの時期だと思われる。)
また、ロッサーノの博物館に保存されている、カラフルな挿絵付きの福音書写本はここで見つかった、とされています。
正面。
結婚式の飾りつけが行われてました。これから式が始まるっぽいので、少し急ぎ足で見ることにする。
内部です。壁や柱は修復されてのっぺりしてますが、古いモザイクはプラスチック柵で囲まれ、保護されてました。
モザイク拡大。
わあ・・・キュートです!
正面からの写真が撮れないので、上から撮ったものを上下逆にしてみた。
動物の歯が見えてるの面白い。
ラテン語で何か書かれている。フォントの装飾具合もなんかすごくいい。11世紀末~12世紀頃の文字装飾のスタイルだったのかもしれない。
下の方の動物も拡大・・・たてがみがもこもこ一角獣。カワイイ。
もう一つ。これはケンタウロス?
正面の左奥の方にも、少しモザイクが保存されています。
これもやっぱり、柵のせいで上下逆側からしか見られません。
ここのモザイクも楽しいです。これとか、
これとか。
きっと創建当時はこういうおもしろ楽しい動物モザイクが、床一面を覆っていたんでしょう。
すごく面白かった。もうすぐ結婚式ということで、おしゃれした参列者が次々到着してきました。
大満足の修道院でした。
ロッサーノのホテルまでの帰り道、狭い山道で何台もの車とすれ違いました。・・・山奥の修道院で結婚式。素敵だけど、運転苦手な人は大変だと思う。
ロッサーノのホテル
サンタ・マリア・デル・パティーレほどではないですが、ロッサーノの街もある程度山を登ったところにあります。
ホテルは街に入ってすぐのところにありました。陽気な若い夫婦と、そのお父さん?っぽい、陽気なご老人男性が運営しています。英語はかなり微妙・・・若い夫婦の方はほとんど通じません。お父さんの方は通じます。
ロッサーノの駅についたのが15時過ぎ、タクシーを呼んで、サンタ・マリア・デル・パティーレ修道院に着いたのが16時前くらい。観光して、同じタクシーでホテルにチェックインできたのが17時頃。
まだまだ明るいし、もちろんディナーの時間には早すぎてレストランも開いてないので、ロッサーノと言えばの観光名物、Codex(コーデックス。福音書写本)を見に、博物館に出かけることにします。
(続く)
≪スティーロとロッサーノ旅行計画≫