イスラエル旅行、2日目。ジェリコに日帰りして帰ってきてまだ時間があったので、ダマスカス門からエルサレム旧市街の観光をスタートしました。知れば知るほどカオスの街。
目次
ダマスカス門から観光スタート
午前中ジェリコに行って、帰ってきたエルサレムは大雨。バス停の近いダマスカス門から、旧市街の中に入ります。
ダマスカス門のあたりはムスリム地区。スークと言うアラブ人の商店街を通りました。イスタンブールのグランドバザールに似ている。世界中のアラブ人の商店街って、みんなこういう雰囲気になるのか。
ムスリム地区のメニューなしレストラン
お腹がぺこぺこだったので、わりと観光客も入ってるっぽいお店に入ってみました。メニューをくれ、というとメニューはない。という。貼ってある写真を指差して、これはいくら、これはいくら、と説明。
3皿頼んで、けっこう美味しかったです。美味しかったけど、頼んだつもりもなくて、勝手に出てきた付け合わせの小皿の分も、値段の中に入っていた。
しかもクレジットカードは使えない、という。ここでシェケルの現金の残りが気になってきました。
必死に財布の中をかき集めていると、隣のフランス語をしゃべる夫婦が会計になったようです。奥さんがトイレに行っている間、ご主人がクレジットカードを出して、断られている。どうやら思っていたよりも値段が高く、現金の手持ちがないらしい。
耳をそばだてて聞いていると、向こうにキャッシュディスペンサーがある、一緒に行こう、と店員に言われて、連れ去られていきました。
奥さんがトイレから戻ってしばらくすると、ご主人と店員が戻ってきました。そして奥さんに会計は済んでいる、と言う。やたら店員がフレンドリーで、ご主人の背中を叩いている。
・・・ヤミ金かよ!
いや、ヤミ金漫画で読んだ、債務者とATMを行脚して、片っ端から現金をキャッシングさせるのに似てるなあ。って。
フランス人のご主人をATMに連れていったのはこんな店員たちです。
なお、財布にはなんとか会計できるだけの現金がありました。こういうのもぼったくりの一種なのかなあ。そういえば値段も、のちのち他のところで食べたものより1.5倍くらい高かったです。
これを教訓に、飾ってある写真やメニューに値段が書いてないレストランは避けることにしました。
日中の聖墳墓教会、人多すぎ
相変わらずの雨。
スークを抜けて、この広場を曲がると、聖墳墓教会です。
人多過ぎ!げんなりするくらい人がいるので、日を改めて、早朝の時間帯に、また来ようと思います。
アルメニア人地区・聖ヤコブ聖堂
まだまだ旧市街を歩きます。ユダヤ人地区を抜けて、アルメニア人地区を目指す。
アラブの商店街とたいして変わらない雰囲気。
ムスリム地区を離れると、道が清潔になってきます。
上2つの写真に小さく写っている帽子のサラリーマンは、正統派・または超正統派ユダヤ人のスタンダードな服装です。
内部の聖堂は閉まってました。
アルメニアには昔行ったことがあります。アルメニア語の特徴的な文字とハチュカルが懐かしい。
入口にいた人に、聖堂は17時から開く、と言われる。
時間を潰すため、シオン門やシオンの丘周辺の観光地を見て回りました。(ダビデの墓とか、最後の晩餐の部屋とか)
それでもまだ時間が余るので、糞門からセキュリティチェックを通って、ユダヤ人地区の聖地・嘆きの壁へ。
嘆きの壁と超正統派ユダヤ人
ちなみにエルサレムのユダヤ人はキッパという平べったい帽子を被っている。
壁にくっついているユダヤ人で、すごい帽子をかぶっている人がいますが、この人たちは超・正統派というらしい。
この本気のユダヤ人、超正統派と言われる人たちの服装が独特過ぎて、面白かったです。
黒スーツに黒い帽子。これがスタンダードですが、本気の超正統派は、髪はもみ上げのところだけ伸ばしており、黒いガウンみたいなのを着ていて、ファー素材の円筒形の帽子を乗せている。たまにクリーム色っぽいのもいる。(これはなんかモンゴルっぽくて好き。)そんでメガネ率が高く、青白い顔をして、猫背です。女性は地味で古臭い恰好で、目立ちません。
観光客はだいたいこの変な格好の人に目が釘付けになります。筒型の帽子から目が離せない。同じく目が離せないでいる観光客もよく見かけました。
後で調べてわかったのですが、この超正統派ユダヤ人の男性は働いてないらしい。(国から補助金が出るらしい。)ひたすらトーラーを勉強してるのだそうです!どおりでみんな生気のない顔をしていると思った。
Ultra-Orthodox & Anti-Zionist | My Jewish Learning
あと、びっくりすることに、この中にはシオニズム(イスラエル・パレスチナにユダヤ人の国をつくろうという運動)に反対し、現イスラエル国家はすぐに解散すべきと主張する人たちもいるらしい。神やメシアの摂理に反して、人間が政治的にユダヤ人の国をつくろうとしている行為だとかで。
こんなに立派な国つくっておいて?!(おまけに国から生活費もらってるのに??)ユダヤ人にもいろいろいるんだなあ。
アルメニア正教会の典礼
17時、再び聖ヤコブ聖堂を見に行くと、アルメニア正教の典礼が行われていました。信者と観光客と半々くらい。
天井からおびただしくぶら下がる装飾が、ギリシャ正教ともまた違った雰囲気で素敵。
髪の毛をスカーフで隠しているのは、アルメニア正教徒の女性信者。立っているのはほぼほぼ観光客。
柱に青っぽいタイルが使われていたり、アジアっぽいです。
正教の典礼はどこもわりと音楽的。ギリシャ正教も音程がありますが、アルメニア正教はより音楽っぽくて、聖堂内に響く声が美しいです。こっそり後ろに近づいてみたら、歌ってる人たちはちゃんと五線譜を持ってました。
あー!出た。アルメニアで初めて見たとき、聖職者には見えず、黒魔術が始まるんじゃないかと思った、真っ黒フードの強そうなやつ。
黒フード接写。 音楽的な典礼は耳に心地よいです。
アルメニアは世界で最も早く、キリスト教を国教化した国。ローマのミラノ勅令よりも先。そのことが、アルメニア正教とアルメニア人のプライドなんだと思います。
その後も451年のカルケドン公会議で「正統」とされたカルケドン信条を受け入れず、(対ペルシャの争いとかで、会議に出席するどころではなかった。)それ以来、非カルケドン派の東方正教という区分で独自キリスト教路線を貫いています。
なお、カルケドン信条を採択した「正統」なキリスト教は、後に西のローマカトリックと東のビザンティン帝国のキリスト教に分かれていくのですが、ビザンティン帝国のキリスト教というのが、今のギリシャ正教。
多分ギリシャ正教会は、自分たちこそ初期キリスト教時代からの伝統を受け継ぐ、正統派キリスト教だと思っている。
ということで、同じ東方正教のカテゴリに入るこの2つ、お互いプライド高そう&仲悪そう。
2008年には聖墳墓教会で、2011年にはベツレヘムの聖誕教会で、この2宗派の小競り合いをきっかけに大乱闘が起きてて、そういう話も興味深いです。
アルメニア正教 vs ギリシャ正教@エルサレム聖墳墓教会、2008
アルメニア正教 vs ギリシャ正教@ベツレヘム聖誕教会、2011
厳かな法衣を着て髭を生やした立派な格好のおじいさんたちが、箒や素手で殴り合う映像はいつ見返しても衝撃的。
人間っぽいなあ。
カオス!エルサレム
エルサレム旧市街の様子を一言でいうと、多種多様な変なやつがいっぺんに登場する街、って感じです。多分行ったことある人には同意してもらえると思うけど。
変なやつ、の筆頭が超正統派ユダヤ人です。彼らはまず外見が異様。
1週間くらい滞在しましたが、超正統派ユダヤ人が集団でバスを降りてきたりするのを見ると、圧巻。どんな異国に来たのかと思います。
そんなユダヤ人地区とも接する、狭い商店街の中を、ギリシャ正教の修道士たちが行進してくる。
行進の先頭には鈴をつけた杖を突いて先導する人がいて、かっこいい。
場所と時間によっては、正統派ユダヤ人が集団で歩いている中で、モスクから例の1日5回の礼拝の放送が聴こえてきます。
笑。どんなカオスかっていう。
アルメニア正教といい、超正統派ユダヤ人といい、各宗派の中でも癖の強いのが集まって成り立っている、奇跡的な街です。
(続く)