超個人的★ヨーロッパ旅行のHow To

ヨーロッパに住んでいる旅行好きです。バックパッカー、キャンプ、ユースやドミトリー泊などはしません・・・。公共交通機関(やタクシー)ばかり利用してきた、これまでの個人旅行記録と旅のHow To。

【ロッサーノ旅行記】2:ビザンツ文化と6世紀の福音書写本を誇る、南イタリアの山間の街

イタリアのつま先、カラブリア州のビザンティン教会を見に行く旅行記、その5です。ロッサーノの駅からタクシーでサンタ・マリア・デル・パティー修道院を見た後、ロッサーノの街のコーデックスを見てきました。

 

ロッサーノ・コーデックス

ロッサーノの街を歩く。

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坂が多くて、良い雰囲気。塗装が剥がれかけ、ともすると崩れかけの壁や建物が良い雰囲気になるのは、南イタリアの街の特徴だと思います。

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ロッサーノが世界に誇るロッサーノ・コーデックスは、ロッサーノの大聖堂のすぐ横にある司教区博物館に保管されているというので、まずは大聖堂を目指します。

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大聖堂。中に入ってみたかったけど、ここも結婚式なのか、入口まで人がぎっしりいたので、あきらめる。

 

司教区博物館

博物館の入口看板を発見。

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入口。

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コーデックスの貴重さをお勉強

コーデックス(Codex)という単語、これはもとのラテン語では紙を綴じたものという意味らしいのですが、転じて福音書の写本≒つまり聖書、を意味します。

写本というのも聞き慣れませんが、印刷技術のない時代の書物は全て誰かが原本を書き写したもの。ということで、古い時代の書物については、マルコやマタイなどが書いた福音書そのものではない、「福音書写本」と表すのが一般的なようです。

入ったら、まずロッサーノ・コーデックスの来歴をまとめたビデオの上映室に案内されます。音声イタリア語、字幕は英語を選べます。

この映像がなかなか興味深かった。

ロッサーノ・コーデックスは、5~6世紀作成のもの。イラスト付きの福音書の写本で、羊皮紙に描かれています。この年代でここまで豪華で美しく、さらに枚数も多いものは世界でも他に見つかっていないという貴重なものです。文字は金と銀で描かれ、色もふんだんに使われている。

同じ年代に作成された物として見つかっているコーデックスでは、パリ、サンクトペテルブルグ、ウィーン、ティラナ(アルバニア)に保管されているものがありますが、ロッサーノのものが断トツで美しく、ページ数も多く、絵も多く、保存状態も良いのです!

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・・・という解説は、ビデオでも紹介がありましたが、通路にパネルも貼ってありました。なかなか自慢げです。

また、作成されたのは5~6世紀ですが、ロッサーノに持ち込まれたのは8世紀とのこと。製作地は諸説あるようですが、コンスタンティノープル、エジプト、北アフリカという説が有力のようです。

ところで、なぜ8世紀に、なぜイタリアのロッサーノに持ち込まれたのか?

8世紀、キリスト教史では有名な、聖像破壊運動(イコノクラスム)が発生。ユダヤ教イスラム教の影響を受けていた当時のビザンツ皇帝が、自国のキリスト教においても徹底的な「偶像崇拝禁止」を実施するべく、聖母子像などのイコン作成禁止を命じたもの。

現存するイコンや芸術作品の破壊活動が行われ、反対する聖職者への容赦ない迫害・弾圧もありました。そこで反対派の修道士たちがコーデックス片手に逃げてきたのが、イタリアカラブリア州の山深い奥地だったということらしい。

その場所の一つがロッサーノ。

ということでこの貴重な写本も、ロッサーノにおいて保管されることになったのだそうです。

 

実物とご対面

いよいよ!うやうやしく保管される、コーデックスの部屋。

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開いてあるページは半年に1回とかしか、変更しないのだそうです。

なお、このとき開かれていたのはこのページ。

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色が鮮やかー!!15世紀ぐらいのものって言われても違和感ない仕上がりです。

でも他のページも見たい。見れないじゃないか・・・と思わなくても大丈夫。壁にあるモニターで、かなり高精細のデジタル画像を見ることができます。

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写真に撮るとあんまりよくないですが、ディスプレイを肉眼で見る分には十分、満足の行く高精細具合でした。紙の質感もわかるくらい。

学芸員の中に英語で説明できる職員もいて、熱っぽく解説してくれます。この街にコーデックスあり。面白かった。

 

街なかのビザンツ教会とか

博物館を出た後は、もうひとつ、街はずれにあるサン・マルコ修道院を見に、地図を見ながらうろうろ。

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古いイタリアの田舎な街並み。その中に見えてくる、ビザンティンな建物。

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ここです!

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10世紀の建物。

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のっぺりしてますが、角度を変えると・・・

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この筒形ドーム、それから祭壇があるところに出っ張ってるふくらみ。やっぱりビザンティン建築です。

ちなみにここ、中はきれいに改装されててあんまりおもしろくありません。

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ただ、この石は古そう。

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ビザンティン~な建築を見上げるように、ライオンの彫刻の泉がありました。サン・マルコだからライオンってことかな。

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ライオンの泉とビザンティン建築のサン・マルコ教会を一緒に撮ってみた。

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街並みだけ見ると、南イタリアの雰囲気良い田舎町なんですが、その中にビザンツ風な建物があるのが面白いところです。

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あと、イタリアはすごく道が狭く、小さい自動車が好まれるらしい。・・・ってことで、フィアットのチンクチェント(アニメでルパン三世が乗ってたやつ)が現役で走っているのをよく見かけるのですが、たまにこういうぼろいチンクチェントが売りに出されてます。ちゃんと走るのか。

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夕方ごろ、大勢の子供たちがこの広場でスケートボードしたり集まってワイワイしていた広場。

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コーデックスを見て、サン・マルコ教会を見てからもう一度通ったら閑散としてました。

真ん中の像と紐が気になって、拡大。謎の聖人でした。

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ディナーはカラブリア州の名物唐辛子料理

20時頃になって、ようやっとレストランが開く時間。ホテルからちょっと歩いたところにあるレストランに入ってみました。

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ドアに書いてある開店時間を過ぎてましたが、営業してるのか不安になるくらいひっそりしている・・・でもちゃんと開いてました。ご主人が来て、屋上のテラス席を案内してくれました。

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それで、反対側から見えるのが、こう。

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料理です。

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この、右側のお皿。自家製の何か(料理名失念)がすっごい美味しかったです!!

イワシの稚魚っぽいもの(シラス?)と唐辛子とトマトとオリーブオイルを漬け込んで発酵させてるみたいですが・・・すごくキムチと似た雰囲気の、辛さも旨味も引き立つ、うまい何かに仕上がってました。パンにつけてワインと一緒に食べます。止まらない。

ちなみに帰りの空港で、瓶詰めのそれっぽいものを買ってみたのですが、ただの辛目のピザソースで、似て非なるものでした。自家製だからこその美味しさだったのかも?

その他の料理。

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ムール貝イカも新鮮でおいしかった。英語はほとんど通じないけど、甘い(ドルチェ)とか辛い(ピカンテ)とか、知ってるイタリア語単語で何とかなります。おすすめです。

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カラブリア州から帰る

2日間でスティーロとロッサーノを堪能し、3日目は帰路。鉄道でラメツィア・テルメチェントラーレへ戻ります。

再び、途中のカタンツァーロ・リドで時間をつぶす。(電車の接続が悪くて2時間待ち。)

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日曜ということもあって、町中が閑散としている。

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人影もまばらなビーチ。

お昼は駅のカフェで簡単に済ませました。

ティーロもロッサーノも、すごく観光地というわけではなくて、英語が喋れない人ばかりの素朴な街でした。海岸を見てもわかるとおり、そもそも人が少ない。

ところが空港は(さすが空港というべき?)けっこう込み合ってました。ここに集まっている観光客はカラブリア州のどの街へ分散してたのでしょう。

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ということでなかなか興味深い旅行でした。いつかたくさん休みを取って、カラブリア州だけでなく周辺の南イタリアを含め、街めぐりに行きたいです。

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スティーロとロッサーノ旅行計画≫

  1. イタリアのつま先・カラブリア州に、異国情緒あふれる教会建築を見に行く
  2. 公共交通機関で行くカラブリア州。行き方と観光ルート 

スティーロとロッサーノ旅行記

  1. 南イタリアのビザンティン建築を見に、スティーロへ 
  2. イタリアの山の中にひっそり残る、ビザンティン建築。スティーロのラ・カットリカ
  3.  ビヴォンジ村のルーマニア正教の修道院を観光後、電車でロッサーノへ向かう
  4.  おもしろ楽しい動物モザイクを見に、山奥の修道院へ
  5. ビザンツ文化と6世紀の福音書写本を誇る、南イタリアの山間の街 ⇐今ココ