2019年3月。ギリシャのすぐ上に位置する、旧ユーゴスラビアのマケドニア共和国。最近国名が北マケドニアに変わりました。11世紀~12世紀のビザンティン教会建築を見に行きます。
目次
- バルカン半島の教会建築
- スコピエ(Skopje)とスコピエ近郊
- スタロ・ナゴリチノ(Staro Nagorichane)
- レスノヴォ(Lesnovo)
- オフリド(Ohrid)とオフリド近郊
- クルビノヴォ(Kurbinovo)
- ヴェルサ(Veljusa)
- 北マケドニア全土の教会マップ
バルカン半島の教会建築
バルカン半島の真ん中らへんは、古代から中世にかけて、スラブ民族が南下したり、セルビア人が移動してきたり、ブルガール人が住み着いて国をつくったりと、いろんな民族が入り交ざってます。
そして、年代はバラバラですが、中世までにはそれぞれのキリスト教(カトリックとか正教とか)を選択し、国教化してきました。その後、トルコ支配やさまざまな要因により、現在ではイスラム教・正教・カトリックの入り乱れた地域になってます。
地域的に西のローマと東のビザンツに挟まれる格好のバルカン半島ですが、どっちかというとビザンツ(今のトルコ・ギリシャ辺り)寄り。ギリシャ正教の総本山にして大国、ビザンツ帝国の影響を受けた、個性的な教会建築がたくさん建てられています。教会建築好きにとっては見過ごせない、なかなかの面白エリア。
ただし。こうした面白い教会は、だいたいどれも僻地にあって、公共交通機関もあんまりなく、行くのが大変。一つの国に限定して有名教会を訪ね歩くとしても、ある程度まとまった日数が必要です。
そんな中、ギリシャのすぐ上に位置する内陸国・北マケドニアは、首都圏や観光地の周りに教会が固まってることを発見しました。
ということで、旧ユーゴスラビアでスラブ人の国、最近国名が変わったばかりの北マケドニアに、教会を見に行って来ることにしました。
まずは、北マケドニアにあるフレスコ画の美しいビザンティン教会を、地域別にチェック。
スコピエ(Skopje)とスコピエ近郊
首都スコピエとその近郊のビザンティン教会には、以下のようなものがあります。
聖パンテレイモン修道院
St Panteleimon (SV Pantejlemon) in the village of Gorno Nerezi
地球の歩き方にも載っている教会。スコピエの街を一望するヴォドノ山にあって、スコピエ市内からのアクセスも良さそう。12世紀の建築。
聖アンドレア教会
Lake Matka - St. Andrew - Journey Macedonia
スコピエ市民の週末の遊び場、マトカ渓谷の奥にある小さなビザンティン教会。14世紀の建築。
聖マルコ修道院
Sushica - St. Demetrius (Marko's Monastery) - Journey Macedonia
スコピエから20キロ、スシシャという村にある修道院。14世紀の建築です。
聖ニキタ修道院(Saint Nikita Monastery)
Gornjane - St. Nicetas (Nikita) - Journey Macedonia
スコピエから北に17.5キロ。Gornjaneという村からすぐの、山の上にあります。11世紀の建築で、内部の壁画は14世紀のもの。
スタロ・ナゴリチノ(Staro Nagorichane)
マケドニア第三の都市、クマノヴォから17キロくらいの場所にある小さな村です。
聖ジョルジョ聖堂
Staro Nagorichane - St. George the Great Martyr - Journey Macedonia
もともとは11世紀の建築。その後、14世紀初頭にセルビア王国のミルティン王によって再建されたときに、内部にフレスコ画が描かれています。聖クリメント教会や聖ニキタ教会のフレスコ画と同じ画家によるものだそう。
レスノヴォ(Lesnovo)
レスノヴォは、北マケドニア北東部の都市、コチャニから北西30キロほどの村。この村の近く、オソゴヴォ山の斜面に、修道院があります。
レスノヴォ修道院
Lesnovo - St. Michael & St. Gabriel in Eastern Macedonia
14世紀の建築。この近くの洞窟で修道生活を送っていた、ガブリイル・レスノヴスキという隠者に由来しているそう。
オフリド(Ohrid)とオフリド近郊
北マケドニアで一番の観光地、世界遺産に登録されているオフリドとオフリド湖。ローマ時代の遺跡も残る風光明媚な街です。中世にブルガリア正教の総主教座があったため、ビザンティン教会がたくさん残っています。
聖ソフィア聖堂
The Church of Saint Sophia (Света Софија) in Ohrid (Охрид)
当初はブルガリア正教のオフリド大司教区の教会。巨大な建物で、ビザンティン建築の本にも写真付きで紹介されてます。モスクとして使われていた時代には塗り込められていたフレスコ画が、復元されて見ることができます。
聖クリメント教会
Ohrid - Our Lady the Most Glorious (St. Clement) - Journey Macedonia
聖クリメントというのは、キュリロスとメトディオスの弟子。北マケドニアの守護聖人です。
ちなみにキュリロスとメトディオスというのは、スラブ圏にキリスト教を布教し、キリル文字をつくったという、バルカン・スラブ圏の超有名兄弟です。この聖堂内の、13世紀末のフレスコ画が有名。
聖コスマスとダミアン教会
Ohrid - Holy Physicians (Mali Vrachi) - Journey Macedonia
小さな教会。14世紀の建築で、14世紀当時の木製のイコノスタシスがまだ保存されているそうです。
聖コンスタンティンとヘレナ教会
Ohrid - Sts. Constantine & Helen - Journey Macedonia
初めてキリスト教を国教化したコンスタンティヌス帝と、その母ヘレナに捧げられた教会。15世紀の建築。
聖ヨハネ・カネオ教会
Saint John the Theologian (Sveti Jovan Bogoslov) in Kaneo
たぶん北マケドニアで最も知られている教会。オフリド湖沿いに建つ抜群の立地で、観光地として最高の場所です。内部のフレスコ画は少しだけ。
聖ナウム修道院
The Monastery of Saint Naum - Ljabanishta (Lake Ohrid), Macedonia
オフリドから南に30キロほど行った、アルバニアとの国境近くにあります。ここも湖沿いで、景色の良い観光地です。聖ナウムというのも、キュリロスとメトディオスの弟子。
クルビノヴォ(Kurbinovo)
マケドニア第二の都市、ビトラから西に40キロほど。プレスパ湖の近くにあるクルビノヴォ村近くに、小さいけど存在感のある教会があります。
聖ジョルジョ聖堂
The Church of St George in Kurbinovo, Macedonia (Св. Ѓорѓи, Курбиново)
建物は小さいですが、内部の素晴らしいフレスコ画が有名。ここに描かれている天使は、「クルビノヴォの天使」と言われており、マケドニアデナリの紙幣のデザインに使われています。
ヴェルサ(Veljusa)
北マケドニアの東部で最大の街、ストルミツァ。ここから北西7キロのヴェルサという村に古いビザンティン教会があります。
ヴェルサ修道院
Veljuša (Veljusha) - Most Holy Virgin Eleussa - Journey Macedonia
11世紀の建築。内部の美しい壁画が有名で、11世紀のものと12世紀、14世紀のものがあります。
北マケドニア全土の教会マップ
マケドニア全土の地図で見る、ビザンティン教会の位置。チェックした全ての教会を見に行くのは日程的に無理なので、スコピエ近郊とオフリドの教会に絞って、2泊3日で見に行くことにしました。詳しい旅程と訪問予定教会は次の記事で。
(続く)
≪北マケドニア旅行計画≫